花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

2022-01-01から1年間の記事一覧

薬丸岳 罪の境界

薬丸岳 「罪の境界」薬丸さんの新刊が出ていたので早速買ってみました。 主人公は通り魔事件の被害にあってしまった女性。その場に居合わせた男性がかばったために彼女は一命をとりとめたが、約束は守ったと伝えて欲しいと彼女に言い残して男性は亡くなって…

鴨崎暖炉 密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック

鴨崎暖炉 「密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック」前作の「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」が面白かったので新刊の続編を買ってみました。 密室殺人を破られなければ罪にならないと判例が出たことで密室による殺人が頻発していた。…

逸木裕 虹を待つ彼女

逸木裕 「虹を待つ彼女」以前読んだ「祝祭の子」が面白かったので逸木さんの別の作品を読んでみました。 主人公は人工知能の研究者。ユーザとの会話から学習して人間のようにコミュニケーションが取れるアプリをリリースしていたが、あるとき死者を人工知能…

秋吉理香子 終活中毒

秋吉理香子 「終活中毒」この作品の前身にあたる「婚活中毒」が面白かったのでこちらも読んでみました。 死ぬ前に実施する終活をテーマにした話を集めた短編集となります。短編には自身の終活と他人の終活の両方の内容がありまして、自分が人生の最後に後悔…

山田悠介 サブスクの子と呼ばれて

SF

山田悠介 「サブスクの子と呼ばれて」あらすじを読んで気になったので読んで見ました。 様々なサービスがサブスク化する中で人間のサブスクサービスが認められた。サブスクでは子供がサービスを提供するのは違法とされているが、需要と単価が高いことから裏…

逸木裕 祝祭の子

逸木裕 「祝祭の子」あらすじを見て面白そうだったので読んでみました。 14年前に宗教団体の施設内で大量殺人事件が発生した。事件を起こした宗教団体の長は洗脳して殺人の訓練を施した子供たちに信者を殺害させ、自らは姿を消した。そういった背景だったの…

まさきとしか レッドクローバー

まさきとしか 「レッドクローバー」まさきさんの新刊が出ていたので読んでみました。 ヒ素を使用して大量殺人した男性が逮捕された。十年以上前に北海道にてヒ素によって家族が毒殺される事件があったこと、その事件で唯一の生き残りであり犯人だろうと目さ…

雫井脩介 クロコダイル・ティアーズ

雫井脩介 「クロコダイル・ティアーズ」雫井さんの新刊が出ていたので買ってみました。 陶磁器を扱う老舗を経営する夫婦が3世帯で暮らしていた。あるとき彼らの息子が息子の妻の元交際相手に殺害されてしまう。裁判の末犯人は有罪となったが、判決を聞いた直…

天祢涼 拝啓 交換殺人の候

天祢涼 「拝啓 交換殺人の候」あらすじを見て気になったので読んでみました。 主人公の男性は自殺するために首吊り桜と呼ばれる木がある神社にやってきた。木に登ってみると枝の洞に封筒が置いてあり、そこには自殺をするくらいなら交換殺人をしないかという…

橘蓮二 落語の凄さ

橘蓮二 「落語の凄さ」今回は貰い物の中で気になった本があったので読んでみました。 今人気の落語家5人にインタビュー形式で話を聞いている新書となります。それぞれの師匠たちがどういったことを考えて芸を磨いているか、テレビの笑いと落語の笑いはどう違…

辻村深月 噓つきジェンガ

辻村深月 「噓つきジェンガ」あらすじを読んで気になったので買ってみました。辻村さんの作品を読むのは久しぶりです。 詐欺をテーマにした短編集となります。最近ですとコロナの影響で困窮した人々が犯罪まがいなバイトに手を出すケースが増えていると話題…

荒木あかね 此の世の果ての殺人

荒木あかね 「此の世の果ての殺人」あらすじを読んで気になったので読んでみました。2022年江戸川乱歩賞の作品となります。 二か月後に小惑星が日本に衝突すると発表されたことから世界中で混乱が起きていた。そんな中で主人公の女性は免許を取るために自動…

浅ノ宮遼,眞庵 情無連盟の殺人

浅ノ宮遼,眞庵 「情無連盟の殺人」あらすじを見て面白そうだったので読んでみました。 主人公の男性は感情が失われていく病気に罹っていると判明した。まだ初期の段階ではあるがいずれ何に対しても最低限生きていける程度にしか行動しないようになっていく「…

市川憂人 灰かぶりの夕海

市川憂人 「灰かぶりの夕海」市川さんの新刊が出ていたので読んでみました。 主人公の男性は配達の仕事中に倒れている女性を発見する。その女性はかつて亡くなった恋人と瓜二つであり、名乗った名前も同じであった。明らかに怪しいが放っておくこともできず…

西尾潤 無年金者ちとせの告白

西尾潤 「無年金者ちとせの告白」他のブロガーさんがこちらの作品を紹介していたので読んでみました 主人公のちとせが勤めるパーキングエリアは年齢不問で雇ってもらえるために従業員のほとんどが高齢者であった。そんな条件でも働き続ける高齢者たちは引き…

月原渉 九龍城の殺人

月原渉 「九龍城の殺人」月原さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の女性は裏組織を取り仕切る祖母に母の遺骨を届けるために香港に向かう。香港で知り合った同世代の女性2人と友人になるが、そのうちの一人が貧困のために自ら身売りをしてしまう…

阿津川辰海 録音された誘拐

阿津川辰海 「録音された誘拐」阿津川さんの新刊で面白そうな作品があったので買ってみました。 ある探偵事務所長が誘拐される事件が発生する。その日は彼の家族が集まってホームパーティーをしていたため、犯人からの接触を一族で待つ形となった。そのとき…

未須本有生 ミステリーは非日常とともに!

未須本有生 「ミステリーは非日常とともに!」以前読んだ「天空の密室」が面白かったので未須本さんの別の作品を読んでみました。 ミステリー作家が豪華客船上にてファンとの交流会を開催することとなった。イベントとして客船特有のトリックをファンの前で披…

久坂部羊 R.I.P. 安らかに眠れ

久坂部羊 「R.I.P. 安らかに眠れ」久坂部さんの作品で気になるものを見つけたので読んでみました。 主人公の兄が3人の自殺志願者を殺害した事件の裁判を傍聴していた。自身に対してあれほど優しかった兄だが殺害に関してまるで罪悪感を持っていないと取れる…

織守きょうや 301号室の聖者

織守きょうや 「301号室の聖者」先日読んだ「少女は鳥籠で眠らない」の続編がちょうど新しく文庫で出ていたので読んでみました。 主人公の新人弁護士は医療過誤の案件を担当することとなった。病棟を訪れると治療できる見込みのない患者も多く入院しているこ…

秋尾秋 彼女は二度、殺される

秋尾秋 「彼女は二度、殺される」このミス大賞2022の隠し玉と帯に書いてあったので買ってみました。 主人公は傀々裡師という死者を一時的に蘇らせる超能力者。遺族の前で死者を生き返らせて最後の別れの挨拶をさせてあげることを生業としていた。娘を殺害さ…

織守きょうや 少女は鳥籠で眠らない

織守きょうや 「少女は鳥籠で眠らない」織守さんの作品で面白そうなものを見つけたので読んでみました。 新人弁護士が主人公の短編集となります。案件ごとに章になっていてそれぞれの案件で登場する人物たちには何か隠れた目的があり、それを明らかにしてい…

城山真一 看守の信念

城山真一 「看守の信念」前作の看守の流儀が面白かったので続編を読んでみました。 刑務所を題材にしたミステリー短編集です。刑務官の視点で物語が進むのは前作と同様です。前作は受刑者のケアにフォーカスが当たっていたため刑務所内の話が多かったのです…

櫛木理宇 ぬるくゆるやかに流れる黒い川

櫛木理宇 「ぬるくゆるやかに流れる黒い川」櫛木さんの作品で面白そうなものがあったので読んでみました。 二つの家族を殺害した男性が拘置所で自殺した。彼は動機を明確に話していなかったが、SNSのアカウントなどから女性に対して強い憎悪を持っていたこと…

矢樹純 残星を抱く

矢樹純 「残星を抱く」矢樹さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の女性は複数人で男性を暴行している現場を目撃して自宅まで逃げ帰ってきた。刑事である夫に相談しようか躊躇っていると、ポストに先の件を示唆する脅迫状が届いていた。その後二…

村崎友 風琴密室

村崎友 「風琴密室」あらすじを読んで気になったので読んでみました。 とある片田舎に住む高校生が廃校になった母校の掃除をしていた。そこに二人の女子高校生が訪ねてきたのだが、その一人はかつて小学校で主人公と同級生だった子であった。しかし彼女が引…

未須本有生 天空の密室

未須本有生「天空の密室」少し前に開発中の空飛ぶ車をテレビで見て、かっこいいなーと思っていた時に見かけた作品。 高層ビルの屋上階段にてバラバラにされた遺体が発見された。現場の高層ビルの状況から考えるとビル内から屋上へ向かうことは出来ず、犯人は…

水生大海 最後のページをめくるまで

水生大海 「最後のページをめくるまで」タイトルが気になって買ってみました。 こちらはミステリー短編集となっています。タイトルの通りどの章も結末に重点を置いていて予期せぬ真相や展開が待っているというものです。結末も種類が色々とあって順当に驚か…

白井智之 死体の汁を啜れ

白井智之 「死体の汁を啜れ」白井さんの作品で面白そうなものを見つけたので読んでみました。 どの事件も遺体に猟奇的な特徴がありしがない推理作家が真相を探るという短編集になっています。猟奇殺人のはずなのですが作品の雰囲気が全体的にコミカルに出来…

500冊分の書評を振り返ってみて

投稿した書評の数が500冊になりました。書評書き始めてからおよそ10年で500冊まで来れたので、節目かなと思い今までの投稿全部を振り返ってみました(1000冊を節目にするとさらに10年後になっちゃうので…) 最初は備忘録にする予定だったので感想を数行書くだ…