社会問題
献鹿狸太郎 「地ごく」この作品が面白いという話を聴いたので買ってみました。 弱者をテーマとした作品になります。本作は2つの章があり、一つ目は俗にいう弱者男性が自分よりもみすぼらしい老人を見下して日々の鬱屈を晴らして暮らしている物語。二つ目は他…
小林由香 「魔者」小林さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の週刊誌記者はある覆面作家の新刊の内容が自分の幼少のエピソードとそっくりであることは発見する。その作品の刊行日が事故死した姉の命日であることも偶然とは思えず、自分の兄が殺…
櫛木理宇 「虜囚の犬」続編の「死蝋の匣」を先に読んでしまったので前作にあたるこちらを読んでみました。 元家裁調査官の男性はかつて担当した少年が遺体で見つかったと友人の刑事から知らされる。しかもその少年は自宅に女性を監禁して犬のような扱いをし…
桐野夏生 「優しいおとな」こちらの作品が面白いと聞いたので買ってみました。 少年イオンはスラムと化したシブヤで野宿生活をしていた。ホームレスを支援する団体やホームレスの集まりにも頼らず頑なに一人で生きていくことを選んでいる。イオンは「優しい…
葉真中顕 「鼓動」あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。 ホームレスの女性が焼死体で発見される事件が発生し犯人の男性が逮捕された。ホームレスに生きている価値はないと述べるだけでなく、自身の父親も介護をしたくないことを理由に殺害し…
櫛木理宇 「死蝋の匣」櫛木さんの新刊が発売されていたので買ってみました。 芸能事務所を経営している男女二人が殺害される事件が発生し、現場には犯人が残していったものと思われる「死蝋」の一部が発見される。犯人がなぜ死蠟を持ち歩いていたか謎が深ま…
犬塚理人 「灰色の評決」犬塚さんの作品で面白そうなものを見つけたので読んでみました。 主人公の男性はある事件の裁判員となっていた。犯人が別にいて被告人は冤罪なのではと考える裁判員が数人いたが最終的には裁判員全員が有罪と判断して結審し、死刑判…
高野結史 「臨床法医学者・真壁天 秘密基地の首吊り死体」高野さんの「奇岩館の殺人」が面白かったので他の作品も買ってみました。本作が発売された当時はこのミス 大賞・隠し玉作品と紹介されていました 主人公である法医学者の男性は児童虐待を鑑定する臨…
岡崎琢磨 「鏡の国」書店で平積みされていたのが気になったので買ってみました。 亡くなった大物作家が残した遺稿「鏡の国」が発見された。デビュー前に完成させたこの作品は自身の経験を書いたノンフィクションであり、それを死の目前に修正したものであっ…
櫛木理宇 「監禁依存症」櫛木さんの新しめの作品を買ってみました。発売した時から気になってはいたけど後回しになっていました。 性犯罪の加害者側の弁護をすることで有名な弁護士がいた。被害者側を責め立てて心を折ることで示談に持ち込む手口で悪名高か…
一本木透 「あなたに心はありますか?」一本木さんの新刊が出ていたので買ってみました。デビュー作の「だから殺せなかった」から4年ぶりの新刊とのこと。 主人公はAIの研究をしている教授で人の心をAIで作り出すことを目標に研究していた。あるシンポジウム…
犬塚理人 「眠りの神」知り合いが教えてくれた作品。犬塚さんの作品はかなり前に「人間狩り」を読んで以来です。 主人公の女性医師はスイスにて安楽死を執行するボランティア団体に所属していた。尊厳ある死を提供する手伝いをしている、と自分では考えてい…
下村敦史 「逆転正義」下村さんの新刊が出ていたので買ってみました。 正義感をテーマにした短編集となります。日常生活やSNSの中で行き過ぎた正義感によって炎上やトラブルにつながることがよく見られるようになったことに対しての警笛として本書が描かれて…
櫛木理宇 「少年籠城」櫛木さんの最新の作品が面白そうだったので買ってみました。 主人公は子ども食堂の主人。街の河原で児童の遺体が発見され、児童に性的暴行を繰り返していた少年が犯人として疑われていた。その少年は子分の子とともに追ってきた警官か…
小林由香 「この限りある世界で」小林さんの新刊が出ていたので買ってみました。 ある女性編集者が新人文学賞へある作家の作品を強く推薦した結果、その作品が受賞することとなった。しかしその後新人賞を受賞できなかったことを理由に他の候補作品の筆者で…
ヒキタクニオ 「触法少女 誘悪」以前読んだ同著者の「触法少女」の続編が出ていることに気づいたので読んでみました。 母親を殺害した少女が少年院から仮退院してきた。彼女が退院する日、女性刑事が訪ねてきて入院前に自分と親しかった同級生が自殺したこと…
窪美澄 「たおやかに輪をえがいて」窪さんの作品で面白そうなものを見つけたので読んでみました。 主人公の女性は結婚して二十年間、平穏に暮らしてきていた。あるときクローゼットの中に風俗店のポイントカードが落ちているのを見つけてしまう。そのことを…
千早茜 「しろがねの葉」2022下期の直木賞受賞作品を読んでみました。 時代は戦国末期、主人公の少女は生まれ故郷の村から脱走する最中で石見銀山の山師に拾われる。石見銀山は銀の採掘が盛んであったが山を守るために採掘をコントロールするのが山師の役目…
薬丸岳 「最後の祈り」薬丸さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の男性は牧師をする傍らで受刑者の教誨師のボランティアをしていた。あるとき結婚を間近に控えた娘が殺害されてしまい、犯人である男性は娘を含め4人殺害していたため死刑判決が下…
桂望実 「息をつめて」他のブロガーさんが紹介していたのを見て読んでみました。 主人公の女性は人目につかないように友人も作らず、職場も住居も転々としてひっそりと生きていた。その理由は彼女の息子がかつて連続殺人事件を起こし少年刑務所に入っている…
逸木裕 「銀色の国」逸木さんの文庫本が新しく出ていたので買ってみました。 主人公はNPOで自殺対策に取り組む男性。彼がかつて対応して立ち直ったと見ていた男性が自殺したと連絡がある。遺族によると彼は自殺前にVRゲームに没頭していたと聞き、友人のゲー…
佐野広実 「シャドウワーク」佐野さんの作品で新しめのものを見つけたので読んでみました。 江の島の近くにDV被害から逃れてきた女性たちが共同生活するシェルターがあった。そこではアルバイトの斡旋やレクレーションなどDVで壊されてしまった心身の強さを…
薬丸岳 「罪の境界」薬丸さんの新刊が出ていたので早速買ってみました。 主人公は通り魔事件の被害にあってしまった女性。その場に居合わせた男性がかばったために彼女は一命をとりとめたが、約束は守ったと伝えて欲しいと彼女に言い残して男性は亡くなって…
辻村深月 「噓つきジェンガ」あらすじを読んで気になったので買ってみました。辻村さんの作品を読むのは久しぶりです。 詐欺をテーマにした短編集となります。最近ですとコロナの影響で困窮した人々が犯罪まがいなバイトに手を出すケースが増えていると話題…
西尾潤 「無年金者ちとせの告白」他のブロガーさんがこちらの作品を紹介していたので読んでみました 主人公のちとせが勤めるパーキングエリアは年齢不問で雇ってもらえるために従業員のほとんどが高齢者であった。そんな条件でも働き続ける高齢者たちは引き…
久坂部羊 「R.I.P. 安らかに眠れ」久坂部さんの作品で気になるものを見つけたので読んでみました。 主人公の兄が3人の自殺志願者を殺害した事件の裁判を傍聴していた。自身に対してあれほど優しかった兄だが殺害に関してまるで罪悪感を持っていないと取れる…
櫛木理宇 「ぬるくゆるやかに流れる黒い川」櫛木さんの作品で面白そうなものがあったので読んでみました。 二つの家族を殺害した男性が拘置所で自殺した。彼は動機を明確に話していなかったが、SNSのアカウントなどから女性に対して強い憎悪を持っていたこと…
染井為人 「鎮魂」染井さんの新刊が出ていたので買ってみました。 かつて世間を騒がせた半グレ集団のメンバーが殺害される事件が発生した。過去に多くの犯罪をしていた組織だったために犯人を称賛しもっと殺害することを望む声が多く集まっており捜査関係者…
宮西真冬 「誰かが見ている」あらすじを読んで気になったので読んでみました。 主人公の女性は思い通りにならない我が子が自分の子供ではないと感じており向き合うことが出来ずにいた。保育園からも子の問題行動が原因で疎まれており、周囲から見下されてい…
新津きよみ 「妻の罪状」あらすじを見て気になったので読んでみました。 近年高齢者を中心に問題となっている社会問題を女性視点で描いた短編集です。老々介護、8050問題、終活、など各章で一つの社会問題をテーマにしたミステリーが描かれています。読んで…