花の本棚

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市川憂人 灰かぶりの夕海

市川憂人 「灰かぶりの夕海」
市川さんの新刊が出ていたので読んでみました。
 


主人公の男性は配達の仕事中に倒れている女性を発見する。その女性はかつて亡くなった恋人と瓜二つであり、名乗った名前も同じであった。明らかに怪しいが放っておくこともできず、彼女を自宅に住まわせ同じ職場で働いてもらうことにした。
あるときかつての恩師の家に配達に向かうと家の中では亡くなったはずの恩師の妻とそっくりな女性が殺害されていた。恩師は家におらず所在不明であるため犯人と目されていたが、数日後に遺体で発見され死亡時期は女性の死亡より前であることが判明する。
亡くなった人間と似た人が二人も現れるこの世界はいったいどうなっているのか?というお話。
 
どのジャンルなのか少々迷いますがミステリー風のSF系の作品になると思います。
市川さんには珍しくSFテイストの強い内容となっており、ミステリー部分にもその設定が影響しています。読んでみるとSFとミステリーの絡ませ方が非常に上手くて楽しめる作品でした。
本作のミステリー部分は恩師の家での事件の犯人と、そっくりな女性二人の正体の2つがメインとなります。どちらも真相にはSF部分が重要になってくるため、自力で推理しようとすると少々難しくなります。ということと個人的にはSF設定の部分が面白かったので推理せずにそちらを楽しむようにするのをお勧めします。
 
SF系の作品も好きという方は是非読んでみてください