水生大海 「最後のページをめくるまで」
タイトルが気になって買ってみました。
こちらはミステリー短編集となっています。タイトルの通りどの章も結末に重点を置いていて予期せぬ真相や展開が待っているというものです。結末も種類が色々とあって順当に驚かされるものから力が抜けてしまうようなものまであり楽しめました。
ミステリーとしてみても各章の短さに対して良く出来ています。伏線のつなぎ方も上手いので自分で結末を推理してみても良いと思います。
作中の一つの章で「使い勝手のいい女」と陰で言われている女性が主人公になっていました。バイト先でシフトを快く変わってくれたり、自宅に押し掛けても無下に追い返したりしないという人柄からそう自覚しているとのことでした。
私自身も使い勝手がいい人間だと自覚がありますが「使い勝手がいい人」は悪い特徴ではないと思っています。「使い勝手がいい」とは雑に扱っても機嫌を損ねず、リアクションが早い人のことを指しています。若い世代の方はこの特徴を侮辱だと感じるでしょうけど社会人になるとこれを兼ね備えている人は非常に貴重です。年齢を重ねると体調が安定しなくなったり抱える不安要素の数が多くなったりすることで、この二つの要素はどんどん悪くなって使い勝手の悪い人間になってしまうのが普通です。という点から歳を重ねても使い勝手の良い人を継続できる人は努力の賜物ですので誇っていいでしょう。悪意を持って利用しようと近づいてくる人は排除することだけ気を付ければ使い勝手の良い社会人は快適です。
自力で推理するもよし、雰囲気を楽しむもよしという内容でした。気になる方はチェックしてみてください。