花の本棚

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荒木あかね 此の世の果ての殺人

荒木あかね 「此の世の果ての殺人」
あらすじを読んで気になったので読んでみました。2022年江戸川乱歩賞の作品となります。
 


二か月後に小惑星が日本に衝突すると発表されたことから世界中で混乱が起きていた。そんな中で主人公の女性は免許を取るために自動車教習を受けていた。政府も機能していないため無免許でも咎める人はいないのだが夢を叶えるためだと本人は言っている。ある時教習車のトランクの中に女性の遺体が入っているのを見つけてしまう。運転を教えていた教官は元刑事であると明かし、彼女を殺害した犯人を捜すために捜査をし始める、というお話。
 
SF系のミステリー作品となります。
SF設定を活かした伏線回収や展開は非常に面白い。終わりが近づいている極限の世界という設定ならではの動機や行動が多くみられるため、こういう状況なら確かに…と奇妙ながらも納得出来てしまう面白さがありました。
舞台背景の関係で科学捜査などの機関はほとんど機能していないという設定なので推理の材料となる物的な証拠は少なめになっています。そのため真相を推理しようとすると難易度がなかなかに高くなるかと思います。このあたりはそういう設定と割り切って楽しむのが良いでしょう。
ミステリー面以外でも終焉が決まってしまったとき人はどういう行動を取るのか、そういった世界での悪意は許されるのか、というテーマも描かれているためそちらも楽しめる要素の一つになっています。
 
荒木さんはデビュー作にして受賞したということで今後の活躍もぜひ期待したいです。