花の本棚

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織守きょうや 少女は鳥籠で眠らない

織守きょうや 「少女は鳥籠で眠らない」
織守さんの作品で面白そうなものを見つけたので読んでみました。

 



 
新人弁護士が主人公の短編集となります。案件ごとに章になっていてそれぞれの案件で登場する人物たちには何か隠れた目的があり、それを明らかにしていくという内容です。法律系のミステリーだと法の穴をつくような話は読んだことがあるのですが、本作では法律を利用して目的を達成しようとしているという流れになっているのが特徴であり面白いところだと思います。そういった内容なので法を使ってでも目的を達成したいという「欲しい物が決まっている人の強さと怖さ」がどの章にも上手く描かれているという点も見所だと思います。
本作書くには相当法律に詳しくないと難しいと思ったのですが、織守さんは弁護士をしながら小説を書いている方だそうです。
 
作中にて賛同も理解も得られなくていいと考えている人間の行動は強いけど腹立たしい、と先輩弁護士が言っているシーンがありました。この考えをしている人は目的のために全部を捨てるため、捨てられた友人が傷つくことなどを考えていない点が腹立たしいそうです。
私もこのタイプなのでそれがきちんとできる人は同志として尊敬します。私はここに書いている書評で自分の意見や過去の行動を書いていますが、これらが他人に受け入れられなくても特に問題にしていません。「捨てられたら傷つく」いう意見についても、捨てられないように努力すればいいだけであって捨てた方を非難するのは御門違いでしょう。得たいものに対してどこまで他の物を犠牲にできるか、は人生の中で培ってきた覚悟の強さによると思うので強ければいいとは思っていません。雑な言い方をすれば本人が幸せに生きているのであれば何でもいいのです。
おそらく考えを改めることは今後もないと思いますが、周囲からどう見えているかが分かったので私としては有益でした。
 
法律系のミステリーとしては少々珍しい内容なので気になる方は読んでみてください。