花の本棚

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辻村深月 噓つきジェンガ

辻村深月 「噓つきジェンガ
あらすじを読んで気になったので買ってみました。辻村さんの作品を読むのは久しぶりです。
 


詐欺をテーマにした短編集となります。
最近ですとコロナの影響で困窮した人々が犯罪まがいなバイトに手を出すケースが増えていると話題になっていましたので、そういった社会問題を問題提起するために描いた作品のようです。3つの章でそれぞれ違う詐欺をテーマにして、それらをする側/される側の心理描写を書いています。帯にも書いてあるように詐欺する側は根っからの悪人ではなく出来心で始めてしまったという設定になっており、その心理描写は非常にリアルで上手いため少々同情してしまうような心情がありました。
上記以外にも詐欺にあった/加担してしまったと分かっても周囲に相談できない心情なども描かれているのでこちらも読んでいて楽しめる部分になると思います。
 
本作にて詐欺にあってしまう根幹には自分を特別扱いしてくれることに喜びを感じるから、という描写がされていました。
私としては特別扱いされたいと願う気持ちは理解できませんでした。理由を考えてみると私には特別扱いされるような能力はないと分かっているからのようでした。作中の詐欺にあった人たちの心理描写を読むと本人たちは特別と認められたい欲望だけが先行しすぎており、俗に言う「ありのままの自分を受け入れて欲しい」に似たような状態のようでした。こういった状態になると詐欺師が近づいてきて特別な話をされたときに舞い上がってしまうという流れなのでしょう。その点私は優れた点は何も持ってないと自負しているので「どこを見て良いと思ったのだろう」となるためそういったことを言う人には警戒心が強くなります。別の作品にて「詐欺にあう人は傲慢な人」という話があったこともあり、常に謙虚な姿勢は大事なのだろうと改めて思いました。
 
心理描写がメインの作品ですのでそういった内容が好きな方にはおススメです。