花の本棚

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秋吉理香子 終活中毒

秋吉理香子 「終活中毒」
この作品の前身にあたる「婚活中毒」が面白かったのでこちらも読んでみました。

 



 
死ぬ前に実施する終活をテーマにした話を集めた短編集となります。
短編には自身の終活と他人の終活の両方の内容がありまして、自分が人生の最後に後悔しないために何をするか?と悩んだり、この人は何を考えてこういった終活をしたのか?と周囲が考えたりする姿はリアリティがあって面白かったです。
秋吉さんといえばイヤミス系の作品のイメージがありますが本作はそういった雰囲気はほんの一部だけで全体的軽めな内容になっています。また各章にはちょっとしたミステリー要素もあって、話の真相が上手く隠されているのでこのあたりも読んでいて面白い部分でした。
 
終活がテーマということで自分の人生で後悔しそうなことがあるかを考えてみました。考えてみた結果、今のところ後悔しそうな要素はなんと見つかりませんでした。今想像するのと本当に死が迫るのでは雲泥の差があるとはいえ一抹の不安すらないのはまずいのでは…と思い理由を考えてみたのですが、おそらく死んでいった先人たちの声をちゃんと反映しているからかも、と思い至りました。
死ぬ前に後悔することとして私がこれまで見聞きしたのは「自分らしく生きればよかった」「もっと家族/友人を大事にすればよかった」「もっと挑戦すればよかった」あたりが挙がっていたと記憶しています。Googleで検索しても同じような内容が出てきたのでネット上にも普通に落ちている情報だと確認できました。そうやってこれまで死んでいった人たちが情報を残してくれているのだから活用しないと、と昔の自分は考えて行動に移しているのが今の私になるので後悔しやすい部分の大枠はもう押さえてあるしきっと大丈夫だろうという結論になりました。先人が残してくれた情報があるのにそれを無視して同じ轍を踏むのは馬鹿らしいのでちゃんと聞いた方が良いと常々思います。
 
気軽にサクッと読める作品ですので気になる方は読んでみてください。