花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

2017-01-01から1年間の記事一覧

村上春樹 女のいない男たち

村上春樹 「女のいない男たち」この短編集なら村上春樹苦手でも読めるよ、と言われて買ってみました。 離婚、死別、独身貴族など様々な背景で愛する女性を持たない男性たち6人のエピソードを描いています。村上春樹が苦手な理由にメルヘンが多くて状況が想像…

大門剛明 雪冤

大門剛明 「雪冤」本屋で平積みしてあるのに惹かれて買おうかと思ったら、2年前に読んでいました。重複するところでした・・・主人公は元弁護士。15年前にホームレスに対してボランティアをしていた男子学生と女性が殺害され、現場から逃走する主人公の息子…

中山七里 ドクターデスの遺産

中山七里 「ドクターデスの遺産」中山さんの作品に戻ってきました。今回は重そうな雰囲気のものにしてみました。 「父親が悪い医者に殺された」とその子供から通報が入る。火葬前の遺体を回収して調べたところ、薬物を投与された形跡が見つかる。母親を聴取…

辻村深月 スロウハイツの神様

辻村深月 「スロウハイツの神様」辻村さんの作品ではこれが面白いと聞いたので買ってみました。上下巻本は久しぶりです。「スロウハイツ」というアパートにオーナーが厳選した住人たちが住んでいた。その中には人気作家がおり、かつてその小説に影響されて死…

湊かなえ 母性

湊かなえ 「母性」湊さんの作品の中でも完全女性寄りな一冊だと思います。女子高生が自宅の中庭で倒れているのを母親が発見する。4階から転落したことによる事故か自殺として調べが進む中で母親が言葉を詰まらせながらコメントを発表した。母親のコメントを…

柳広司 ジョーカー・ゲーム

柳 広司 「ジョーカー・ゲーム」読んだことのない作家さん。題材が面白そうだったので読んでみました。 舞台は一昔前の時代。「D機関」というスパイ養成学校が設立されていた。そこを卒業した生徒が各国で敵国スパイを暴いたり、自殺に見える事件の真相を暴…

辻村深月 かがみの孤城

辻村深月 「かがみの孤城」本屋で見て気になっていた一冊。辻村さんの本を読むのはたぶん初めて。 主人公は不登校の女子中学生。部屋の鏡が光出し、手を伸ばすとそこは別空間の城へとつながっていた。そこには自分と同じように呼び出された7人の中学生がおり…

宇佐美まこと 虹色の童話

宇佐美まこと 「虹色の童話」以前読んだ「愚者の毒」が良かったので別の作品を読んでみました。 主人公の女性は「レインボーハイツ」という古びたマンションを度々訪れていた。入居者も少なく、どの住人も荒んだ生活を送っていた。その中に育児放棄されて保…

東野圭吾 マスカレード・ナイト

東野圭吾 「マスカレード・ナイト」読もう読もうと思いつつも後回しになってました。ある女性が殺害される事件が起きていた。遺体を発見する発端となったのが匿名通報窓口だったこともあり、通報者は犯行にかかわっているのではと警察が捜査していた。その後…

夢野久作 少女地獄

夢野久作 「少女地獄」amazonでおすすめに出てきたので買ってみました。著者は1889年生まれの古い本です。短編集になっており、一番長い「少女地獄」は虚言癖のある天才的な看護師が周囲を翻弄するというお話です。読まなくていい本です。文章全体が古い日本…

今村昌弘 屍人荘の殺人

今村昌弘 「屍人荘の殺人」他のブロガーさんが紹介していたのを見て買ってみました。主人公はミステリー同好会の大学生。少女探偵として有名な女性の誘いで映画研究部が行う合宿に参加することになる。その最中でバイオテロによりゾンビと化した集団に襲撃さ…

貴志祐介 ミステリークロック

貴志祐介 「ミステリークロック」本屋にいったら最新刊が出ていました。このシリーズ出てくるのは久しぶりです。これは防犯探偵シリーズと呼ばれている作品。短編集になっており、すべて密室殺人事件です。主人公は防犯のスペシャリストで数々の密室事件を解…

樋口昭雄 ブロッケンの悪魔

樋口昭雄 「ブロッケンの悪魔」少し間が空いてしまいましたがシリーズものを再開しました。パトロールをしていると山の雰囲気とそぐわない男たちが入山してくる。彼らはテロリスト集団で武装して山小屋を占拠してしまう。政府に対して要求を発表し、背けば毒…

久坂部羊 廃用身

久坂部羊 「廃用身」久坂部さんの作品で最初に手にした作品。読んだ時の衝撃はかなりのものでした。 主人公は老人医療とデイケアに携わる医者。老人介護の将来について危機感を抱いている最中、ある画期的な医療方法を思いつく。それは回復の見込みのない麻…

吉永南央 誘う森

吉永南央 「誘う森」あらすじが面白そうだったので買ってみました。主人公は妻を自殺で失った男性。妻の実家は老舗の酒蔵であり、酒の味を守るために様々な言い伝えや風習が伝わっていた。自殺相談のボランティアをしていた妻が自殺したことに疑問を持ったこ…

湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー

湊かなえ 「ポイズンドーター・ホーリーマザー」本好きのコミュニティで話題になっていた一冊。今回は昔書いた書評なので英訳は無しです。気が向いたら後で追記します。こちらは短編集になっています。姉妹、同僚の男女、親子など様々な人間関係の間にある人…

石持浅海 三階に止まる

石持浅海 「三階に止まる」見てびっくり、なんと表紙が真っ黒です。デスノート?横にはタイトルと著者がちゃんと書いてあります。 ホラーとミステリーを融合した短編集です。長さは10ページほどで終わるのもあれば少し長いものもあります。 評判は良かったの…

中山七里 さよならドビュッシー

中山七里 「さよならドビュッシー」前に紹介した「連続殺人鬼 カエル男」と同時期の作品です。主人公はピアニストを志す16歳の少女。従妹と共にピアノ教室に通っていたが、ある日家が火事になり祖父と従妹が亡くなる。かろうじて生き残ったものの全身に大火…

米澤穂信 インシテミル

米澤穂信 「インシテミル」「心理戦が面白い本」を探してみたら出てきた本。時給11万2千円という破格の仕事に応募した12人。その仕事とは地下施設に幽閉され、実験の下で7日間過ごすというものであった。その実験とは参加者を殺したり、殺した犯人を当てるこ…

中山七里 連続殺人鬼 カエル男

中山七里 「連続殺人鬼 カエル男」中山七里の作品ではこれが面白いと聞いて読んでみました。 マンションで口にフックをかけられてぶら下げられる女性の変死体が発見される。死体には犯人が残した声明文があり、すべて平仮名で書かれているなど幼稚さの見られ…

山田宗樹 百年法

SF

山田宗樹 「百年法」読んだのはかなり前ですが、今まで読んだSF小説の中でもトップクラスの面白さだったので紹介します。原子爆弾を6つ落とされた日本は焦土と化し滅亡寸前になった。打開するために国は感染すると不老不死となるウィルスを用いた医療技術を…

押川剛 「子どもを殺してください」という親たち

押川剛 「「子どもを殺してください」という親たち」表紙を見て思わず手に取ってしまった一冊。タイトルからしてギョッとする。著者は精神を病んだ人を説得して医療につなげる仕事をしている人物で、家族ですら手が打てない状態になった患者を何人も相手にし…

麻見和史 水晶の鼓動

麻見和史 「水晶の鼓動」シリーズものの3作目。Wowowでドラマ化してたのは本書の内容とのこと。読んでるときは気づかなかったけど表紙が素敵。玄関先で倒れている遺体が発見される。被害者宅に入ると中は部屋中がスプレーで赤く塗りつぶされていた。部屋が赤…

濱嘉之 警視庁情報官

濱嘉之 「警視庁情報官」今回は貰いものです。読んだことのない作家さん。主人公は警察官。警視庁が情報関連のエキスパートを集めて結成された「警視庁情報室」のメンバーに抜擢される。このチームは極一部の者にしか存在を知らされない秘密のチームとして活…

麻野涼 死刑台の微笑

麻野涼 「死刑台の微笑」今回は暗めな作品。主人公は少年3人に娘を殺された母親。真実を知るために地裁で3人の裁判を傍聴していたが、足を運ぶにつれて3人に対しての憎しみが増す一方となる。しかし少年法以外にも死刑反対の団体や弁護士に守られている少年3…

櫛木理宇 チェインドッグ

櫛木理宇 「チェインドッグ」他の方の書評を読んで気になったので買ってみました。主人公の元に一通の手紙が届く。差出人は実家の近所のパン屋の店主であり、今は猟奇的な殺人犯として逮捕されている。面会しにいくと、9件の殺人のうち最後の1件だけは免罪で…

麻見和史 蟻の階段

麻見和史 「蟻の階段」以前読んだ「石の繭」という同著者の作品の続編です。何冊か続いているシリーズものだと最近になって知りました。主人公は捜査一課の女性刑事。テーブルの上に横たえられた男性の遺体が発見され、その周辺には4つの遺留品が残されてお…

山田宗樹 黒い春

山田宗樹 「黒い春」同著者の中では上位に入るおススメ作品として紹介されていました。薬物中毒で死亡した女性の司法解剖をしていると肺に黒い斑点がついているのを発見する。サンプルを取って調べると黒い胞子が定着していることが分かり、新種の菌ではと調…

樋口明雄 ハルカの空

樋口明雄 「ハルカの空」前に読んだ「天空の犬」の続編です。本作は山岳救助隊のメンバーにフォーカスをあてた短編集になっています。なぜ山で働くことを選んだか、山に対してどんな思いを持っているのか、がそれぞれのメンバーのエピソードとして書かれてい…

道尾秀介 向日葵の咲かない夏

道尾秀介 「向日葵の咲かない夏」ミステリー小説を探してたら「読むべきミステリー小説20選」にこれが選ばれているのを見て読んでみることにしました。本好きのコミュニティで何回か題名を聞いたことがあります。主人公の少年はS君の家に夏休みの課題を届け…