花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

社会問題

垣谷美雨 七十歳死亡法案、可決

垣谷美雨 「七十歳死亡法案、可決」以前この作品が紹介されているのを見かけて読んでみました。 高齢者が多くなりすぎたために日本政府は財政難を脱却するために七十歳になったら安楽死させる法案を可決させた。長年義母の介護をしていた主婦は介護生活に終…

凪良ゆう 流浪の月

凪良ゆう 「流浪の月」以前凪良さんの作品を読んで楽しめたので別の作品を読んでみました。おそらく今年最後の投稿になります。 主人公は浮世離れした両親の元で産まれた。独特なルールのある家でありつつも幸せであったが、両親ともにいなくなってしまい親…

小林由香 イノセンス

小林由香 「イノセンス」小林さんの新刊が出ていたので買ってみました。 主人公の学生はかつて暴漢に襲われているところを助けてくれた男性を見捨てて逃げてしまった。その結果男性は死亡し、見捨てた彼は被害者にも関わらず世間から誹謗中傷を受けることに…

染井為人 悪い夏

染井為人 「悪い夏」以前読んだ「正体」が面白かったので別の作品を読んでみました。 主人公は生活保護受給者を担当する職員。自身の担当する受給者はいずれも言い訳ばかりでまっとうに生活しようとせず滅入る日々であった。あるとき同僚が給付停止をネタに…

染井為人 正体

染井為人 「正体」あらすじを読んで面白そうだったので読んでみました。初めて読む作家さんとなります。 ある一家全員を殺害したことで死刑を言い渡された少年が脱獄して世間は騒然としていた。少年は身元を隠しながら人々の中に溶け込んでいた。周囲からは…

薬丸岳 告解

薬丸岳 「告解」薬丸さんの新刊が出ていたので買ってみました。 恋人に呼び出されて飲酒運転した大学生が老女をひき逃げしてしまった。裁判の末実刑を受けて出所するがかつての友人たちの拒絶や家族の陥った不幸を聞くことで自身のしたことの罪深さを目の当…

まさきとしか 完璧な母親

まさきとしか 「完璧な母親」まさきとしかさんの作品の中でタイトルが気になったので読んでみました。 池で溺れて男児が亡くなる事故が発生した。その母親は息子を失ったショックを癒すために新たに子を産むことを決意し、息子の誕生日に産まれた娘の中に息…

長尾和宏 小説「安楽死特区」

長尾和宏 「小説「安楽死特区」」本屋さんで気になって買ってみました。 舞台は2024年の日本、平均寿命が大幅に伸びたこともあって日本は超高齢化社会を迎えていた。認知症や病気に苦しむ高齢者が増えたために、政府は海外で取り入れられている安楽死を法的…

久坂部羊 介護士K

久坂部羊 「介護士K」前から気になっていた作品を読んでみました。 ある老人ホームで入居者が転落死する事故が発生した。施設で入居者への虐待があったのではと疑った記者が調査を始めたところ、一人の介護士が転落死に関与していると疑い始める。彼は事故当…

神津凛子 ママ

神津凛子 「ママ」前に読んだ「スイート・マイホーム」がよかったので別の作品も読んでみました。 主人公はシングルマザーの女性。夫が亡くなった後に産んだ娘を女手一つで育てていた。シングルマザーであることで受ける世間からの扱いと生活の苦しさから娘…

朝井リョウ どうしても生きている

朝井リョウ 「どうしても生きている」朝井さんの新刊が出ていたので読んでみました。 「苦しくても生きている」をテーマにした短編集です。自分より下の人を見て安心したり、人を裏切ったり、周りのせいにして逃げたり、など褒められることではないのは分か…

辻村深月 傲慢と善良

辻村深月 「傲慢と善良」コミュニティで見てからずっと気になっていた作品。 主人公の女性が自宅に戻ると以前からうろついてたストーカーが自宅内にいるのを見つける。恐怖のあまりに逃げる先を探して恋人に助けを求める。一方恋人の男性は彼女がストーカー…

櫛木理宇 少女葬

櫛木理宇 「少女葬」以前紹介されているのを見て気になっていたので読んでみました。 二人の家出少女が不法なシェアハウスで暮らしていた。同部屋だったこともあり互いに仲良くしようとしていたが、片方の少女はリンチの果てに死亡し遺体の画像をSNSに流され…

まさきとしか ゆりかごに聞く

まさきとしか 「ゆりかごに聞く」本屋さんで目にして気になったので買ってみました。 主人公は女性新聞記者。彼女は結婚し娘がいたが自分本位に接しすぎたせいで夫から母親失格を言い渡されて娘から引き離されてしまう。あるとき21年前に死んだはずの父親が…

朝井リョウ 死にがいを求めて生きているの

朝井リョウ 「死にがいを求めて生きているの」GW2冊目、本屋で見かけてタイトルが気になって買ってみました。ハードカバーで450ページほどもある作品でした。 ある病院に植物状態になった智也とその見舞いに毎日やってくる雄介がいた。献身的に見守る雄介は…

小林由香 救いの森

小林由香 「救いの森」小林さんの新刊が出ていたので買ってきました。 主人公は児童救命士という仕事をしている。子供たちはライフバンドというリストバンドを付けており、それを使うと児童救命士がいつでも駆けつけてくれる世界。呼び出してくる理由は様々…

久坂部羊 祝葬

久坂部羊 「祝葬」久しぶりに久坂部さんの作品を買ってみました。 30代後半で亡くなった医者の男性は自分が近々死ぬことを暗示していた。彼によると彼の家系で医者になった男性はみな50過ぎという若さでみな変死しており、それは一族に伝わる呪いのせいだと…

犬塚理人 人間狩り

犬塚理人 「人間狩り」他のブロガーさんの紹介を見て買ってみました。 カード会社で返済の催促を担当する女性は「ネット自警団」と呼ばれる悪行を晒上げるサイトにハマっていた。初めて自分の投稿した動画を発端に当事者の男が逮捕されたのをきっかけに、サ…

押川剛 子供の死を祈る親たち

押川剛 「子供の死を祈る親たち」前作の「子供を殺してくださいという親たち」がインパクト強かったので、その続きになる本書を買ってきました。 著者は「精神障がい者移送サービス」を請け負う民間企業の方です。これは家族でも手に負えなくなった精神疾患…

芦沢央 罪の余白

芦沢央 「罪の余白」本屋で平積みされているのを見つけて買ってみました。 主人公の娘が学校で転落死した。自殺とみられるがそれほどまでに思い詰める何かがあるとは思えず、本当の理由を探り始める。一方で自殺へと追いやった女子生徒はそのことが世間にば…

中山七里 護られなかった者たちへ

中山七里 「護られなかった者たちへ」前から気になっていた作品に手を出してみました。 主人公は刑事。福祉事務所の課長が手足を拘束された状態で餓死しているのが発見される。被害者は仕事、プライベートともに自覚者として知られていたこともあり、捜査は…

東野圭吾 人魚の眠る家

東野圭吾 「人魚の眠る家」これの単行本が出ているのを先日見かけたので、新刊読んだときに書いた書評を出してみます。主人公は脳科学の研究者である夫とその妻。ある日娘がプールで溺れて意識不明となり、今後意識が戻る見込みはないと宣告される。臓器提供…

中山七里 セイレーンの懺悔

中山七里 セイレーンの懺悔読む本が特に思いつかないと中山さんの作品に戻ってきます。主人公はテレビ局の若手女性レポーター。他局に先駆けたスクープを狙っていると殺害された後に顔を焼かれた女子高生が発見される。先輩とともに取材をしていると彼女はい…

小林由香 罪人が祈るとき

小林由香 「罪人が祈るとき」小林さんの「ジャッジメント」を読んでから、新しいのが出ないかと気にしていました。 その町では11月6日に自殺者が出る呪いがあると噂されていた。主人公の少年は酷いいじめを苦に相手を殺して自分も自殺する決意をしていた。あ…

中山七里 ハーメルンの誘拐魔

中山七里 「ハーメルンの誘拐魔」前に読んだ「ドクター・デスの遺産」と同じシリーズもの。これを読んでシリーズものだと初めて知りました。 あるとき記憶障害を持つ少女が行方不明となる。現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。その直…

奥田英郎 沈黙の町で

奥田英郎 「沈黙の町で」本好きのコミュニティで見つけた本です。ある中学校で学生が転落死しているのが発見された。事故か自殺か調査しているとその学生が集団いじめを受けていたことが発覚し、加害者と目される学生が逮捕される。学生はなぜ死亡したのかを…

薬丸岳 刑事の怒り

薬丸岳 「刑事の怒り」夏目シリーズの最新刊が出ました。 夏目刑事が署を異動するところから話が始まる短編集です。夏目の娘に関する話が結構出てくるので、前作を読んでないと分からない部分があります。今回は各話が最近話題になっている社会問題をテーマ…

中山七里 嗤う淑女

中山七里 「嗤う淑女」タイトルが気になって買ってみました。 いじめを受けていた女子中学生がいた。日々の生活に絶望していたところに、骨髄移植が必要な病であると告げられるが、ドナーとなった従妹に命を救われる。それを期に従妹に憧れ始めるが、いじめ…

湊かなえ 母性

湊かなえ 「母性」湊さんの作品の中でも完全女性寄りな一冊だと思います。女子高生が自宅の中庭で倒れているのを母親が発見する。4階から転落したことによる事故か自殺として調べが進む中で母親が言葉を詰まらせながらコメントを発表した。母親のコメントを…

辻村深月 かがみの孤城

辻村深月 「かがみの孤城」本屋で見て気になっていた一冊。辻村さんの本を読むのはたぶん初めて。 主人公は不登校の女子中学生。部屋の鏡が光出し、手を伸ばすとそこは別空間の城へとつながっていた。そこには自分と同じように呼び出された7人の中学生がおり…