花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

2020-01-01から1年間の記事一覧

中町信 偶然の殺意

中町信 「偶然の殺意」今回は貰い物の作品。帯によると著者の隠れた名作とのこと。 すし職人の男性が常連客の一人から莫大な財産を残された話を聞かされる。相続対象となった人の中には別の常連客もいて、不遇な境遇を同情される人もいた。しばらくして相続…

白井智之 お前の彼女は二階で茹で死に

白井智之 「お前の彼女は二階で茹で死に」以前読んだ「そして誰も死ななかった」が面白かったので別の作品を読んでみました。 主人公の警察官は住宅地で乳児が家の中で殺害される事件を捜査していた。彼は自宅に監禁している少女に事件の犯人を推理させて解…

奥田英朗 「罪の轍」

奥田英朗 「罪の轍」コミュニティで評判になっていたので読んでみました。 舞台は昭和38年。北海道での漁師生活が嫌になった男性が盗みを働きながら憧れの東京へやってきた。一方で強盗殺人事件の捜査をしていた刑事は北国訛りの男性が事件に関わっていそう…

薬丸岳 告解

薬丸岳 「告解」薬丸さんの新刊が出ていたので買ってみました。 恋人に呼び出されて飲酒運転した大学生が老女をひき逃げしてしまった。裁判の末実刑を受けて出所するがかつての友人たちの拒絶や家族の陥った不幸を聞くことで自身のしたことの罪深さを目の当…

千早茜 透明な夜の香り

千早茜 「透明な夜の香り」タイトルと表紙が気になって買ってみました。初めて読む作家さんです。 主人公は調香師の住む屋敷に務めることになった女性。彼は香りに関する天才であらゆる香りの作成だけでなく、匂いから相手の感情や体の状態、行動を読み取る…

下村敦史 法の雨

下村敦史 「法の雨」下村さんの新刊が出ていたので買ってみました。自粛で本屋さんに行けていないので新刊の情報に気付きづらくなっています。 裁判にて逆転無罪を言い渡し続ける判事がおり、有罪率99%以上と言われる日本では異例として世間では騒がれていた…

まさきとしか 完璧な母親

まさきとしか 「完璧な母親」まさきとしかさんの作品の中でタイトルが気になったので読んでみました。 池で溺れて男児が亡くなる事故が発生した。その母親は息子を失ったショックを癒すために新たに子を産むことを決意し、息子の誕生日に産まれた娘の中に息…

佐藤青南 ツインソウル

佐藤青南 「ツインソウル」好きなシリーズの最新刊が出ていたので買ってみました。 行動心理捜査官シリーズの最新刊となります。取調室で行動心理を駆使して真相を明らかにするのは従来と同じ。しかしこの刊は正直に言って要らないと思いました。新鮮味もま…

折原一 異人たちの館

折原一 「異人たちの館」コミュニティで紹介されていたのを見て買ってみました。折原さんの作品はこれが初めてでした。 あるとき主人公は樹海にいって行方不明となった息子の生涯を書籍にまとめてほしいと婦人から依頼を受ける。彼の部屋にある幼少期からの…

まさきとしか 屑の結晶

まさきとしか 「屑の結晶」以前読んだ「ゆりかごに聞く」が良かったので別の作品を読んでみました。 2人の女性を殺害した男性が逮捕された。彼は逮捕時に笑顔でピースしていたことでクズ男と呼ばれ、彼を慕い続ける女性団体は「クズ女たち」と称され話題とな…

白井智之 そして誰も死ななかった

白井智之 「そして誰も死ななかった」タイトルが気になったので買ってみました 正体がわからないことで有名な作家から主人公を含む五人の推理作家に孤島の館への招待状が届く。館についても主の姿はなく、集まった5人は過去に不可解な死を遂げた女性と関係が…

斎藤孝 大人の読解力を鍛える

斎藤孝 「大人の読解力を鍛える」こちらは貰い物の本です。コロナウィルスの影響で多くの人がリモートワークをするようになり、文字でのやり取りも増えてきたところにちょうど目についたのがこの作品。 大項目は以下となります。・大人に必要な読解力・会話…

高木敦史 さよならが言えるその日まで

高木敦史 「さよならが言えるその日まで」本屋で見かけて、タイトルと表紙に惹かれて買ってみました。 交通事故によって小学校教師が死亡したが、乗っていた車からその日から行方不明になっていた少年のものと思われる痕跡が発見される。世間から誘拐犯の家…

今村昌弘 魔眼の匣の殺人

今村昌弘 「魔眼の匣の殺人」前に読んだ「屍人荘の殺人」が良かったので買ってみました。 屍人荘での事件から月日が経ち、主人公たちは新たなミステリー同好会をスタートさせていた。あるときオカルト系を扱う雑誌に大規模な事件発生をいくつも言い当ててき…

市川憂人 神とさざなみの密室

市川憂人 「神とさざなみの密室」気になっていたけどしばらく放置してしまっていた作品。 現政権への反対運動をするグループで活動する女子大生は目を覚ますとどこかの一室に監禁されていた。自身は拘束されているだけでなく、前にはグループの創設者の遺体…

長尾和宏 小説「安楽死特区」

長尾和宏 「小説「安楽死特区」」本屋さんで気になって買ってみました。 舞台は2024年の日本、平均寿命が大幅に伸びたこともあって日本は超高齢化社会を迎えていた。認知症や病気に苦しむ高齢者が増えたために、政府は海外で取り入れられている安楽死を法的…

大山誠一郎 赤い博物館

大山誠一郎 「赤い博物館」前回読んだ「アリバイ崩し承ります」が良かったので他のも読んでみました。 主人公は捜査官。仕事で失態をしたために「赤い博物館」と呼ばれる過去の事件の遺留品などを保管する施設に移動となる。事件の遺留品から事件の本当の真…

久坂部羊 介護士K

久坂部羊 「介護士K」前から気になっていた作品を読んでみました。 ある老人ホームで入居者が転落死する事故が発生した。施設で入居者への虐待があったのではと疑った記者が調査を始めたところ、一人の介護士が転落死に関与していると疑い始める。彼は事故当…

神津凛子 ママ

神津凛子 「ママ」前に読んだ「スイート・マイホーム」がよかったので別の作品も読んでみました。 主人公はシングルマザーの女性。夫が亡くなった後に産んだ娘を女手一つで育てていた。シングルマザーであることで受ける世間からの扱いと生活の苦しさから娘…

阿津川辰海 紅蓮館の殺人

阿津川辰海 「紅蓮館の殺人」2020年このミスにランクインした作品を買ってみました。 主人公は2人の男子高校生。合宿先近くの山中に憧れていた作家が隠居している屋敷があると知り、向かう途中で山火事に遭遇する。避難を名目にその屋敷に泊めてもらうことに…

大山誠一郎 アリバイ崩し承ります

大山誠一郎 「アリバイ崩し承ります」本屋さんで見かけて気になった作品。ドラマ化もされているようです。 新米捜査官がアリバイ崩しを引き受けている時計屋の主人に難航している捜査のアリバイ崩しを依頼するというお話です。中身は短編集になっており、各…

野村克也 超二流 天才に勝つ一芸の究め方

野村克也 「超二流 天才に勝つ一芸の究め方」今回はもらいもので、珍しく自己啓発系の本です。 野村元監督の経験の中で人を育てることについてを語った本となります。スターになるほど才能を持っていない人をいかにして「超二流」に育て上げるかについて野村…

神津凛子 スイート・マイホーム

神津凛子 「スイート・マイホーム」知り合いに紹介してもらって読んでみました。 寒がりの妻のために温かさを売りにした「まほうの家」のモデルハウスを見に行くことにした。結果として「まほうの家」を購入し念願の一軒家を手にする。しかし完成した家に友…

朝井リョウ ままならないから私とあなた

朝井リョウ 「ままならないから私とあなた」あらすじを読んで気になった作品。 価値観をテーマにした2つの物語を書いています。価値観は人それぞれ、と言われ始めて随分と経ちますがこの主張をどう思いますか?というのが本作の内容になると思います。一本目…

301~350冊を振り返る

読んだ本の書評の数が350個になりました。 ブログ開設前から数えたのでここには全部はありませんが、機会があれば過去に書いたものも載せようと思っています。 最近の50冊を振り返ってみると、意識的に新刊を多く読むようにしていました。新刊は社会で話題に…

我孫子武丸 殺戮にいたる病

我孫子武丸 「殺戮にいたる病」この本は傑作と聞いて読んでみました。 世間では猟奇殺人鬼が現れたと話題になっていた。その犯人は被害者女性たちの体の一部を切り取って持ち帰っていることからシリアルキラーであるとされていた。犯人視点と捜査側視点で殺…

相沢沙呼 medium

相沢沙呼 「medium」明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。2020年版このミスをまず1位からということで買ってみました。 推理作家の男性が悪夢にうなされると悩む大学の後輩と共に霊媒師の女性に会いに行くことになる。霊的な能力の数…