花の本棚

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高木敦史 さよならが言えるその日まで

高木敦史 「さよならが言えるその日まで」
本屋で見かけて、タイトルと表紙に惹かれて買ってみました。

 

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交通事故によって小学校教師が死亡したが、乗っていた車からその日から行方不明になっていた少年のものと思われる痕跡が発見される。世間から誘拐犯の家族として扱われ、また父のことを何も知らない人々からの非難に晒された娘は父が何をしようとしていたのか真相を探るために少年を探し始める、というお話。
 
家族をテーマにしたミステリーです。
家族を思う気持ちを書いた感動系ミステリーにしたかったんだと見えるのですが、どちらも中途半端になっていて微妙でした。
まず感動路線の方ですが父親に印象深いセリフを言わせようと頑張っていましたが、言い回しが変で何を言っているのかよく分からないものが多い。父は普段からよく分からないことをしてるという設定があるからとも取れますが、伊坂幸太郎リスペクトのような書き方で私には読み取れなかった。
一方でミステリーの方はというと唐突に事態が進む場面が多くてついていけませんでした。その伏線あったっけ?と疑問符が何度も浮かびました。私が見落としていただけかもしれませんが、推理物として読もうとしても文章だけから伏線を読み解くのはかなりむずかしいと思います。
 
つまらないというほどではありませんが私には微妙な作品でした。伊坂幸太郎が好きな人ならもしかしたら楽しめるかもしれません。