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高松智史 「答えのないゲーム」を楽しむ思考技術

高松智史 「答えのないゲームを楽しむ思考技術」
チーム内の先輩から「着地点が見えない雲をつかむような議論はしたくない」という指摘が挙がり、解消する方法があるかと書籍を探していたらこちらを見つけました。「着地点」とはおそらく「正解」や「先行き」のことだろうと私が勝手に解釈して選びました。
 


現代社会では「これを作れば売れる」や「こういった職場になればメンバーは気持ちよく働ける」という確実な「正解」や「先行き」が分からない状況で行動を選ばなくてはいけない課題が多くなっており、この先も増え続けるだろうと言われています。そういった課題を「答えのないゲーム」と称して向き合い、楽しむための思考方法を紹介しているのが本書となります。
大項目と一言でのまとめは以下となります
1. 答えのあるゲームとないゲームの違い
「答えのあるゲーム」は正解があらかじめ用意されていて、解答がそれと当たっているか確認してから行動する。
「答えのないゲーム」は正解がないので解答が当たりか確認出来ない状態で行動に移る。当然ながら上に書いたような着地点は見えない。
2. 答えのないゲームの戦い方
①プロセスの性質=解答の性質と考える
 例:解答の出し方が素晴らしかったら、素晴らしい解答に違いない
②2つ以上の解答から選ぶ
 「絶対的な答え」がないのなら、解答を複数用意して一番良いものを選び相対的に答えに近づくしかない。よって①を繰り返して解答を複数用意する。
③議論する
 解答を決める前に必ず議論すること。議論することで悔いを無くす。
3. 答えのないゲームにおける思考の仕方
①事実から示唆を考える
 示唆とは「事実から言えること」。事実をもとに「何が言えるっけ?」と問うと示唆が進む。その示唆に100人中何人くらい同意しそうかも考えるとさらによい。
 例:売り上げが急上昇した企業がある(事実)→ここに投資すると儲かるのでは(示唆)
②B〇条件
 2つの解答が衝突した時の思考方法。具体的には「~~という条件が成立するならその意見に賛成ですが、実際どうなんですか?」と聞くこと。
 相手の意見を否定せずに「どういう条件だったら相手の意見に賛成できるか」と考え、「実際どうなんですか?」と聞くことで新しい論点も生まれる。
4. 演習課題
 上にあげた思考を練習する課題が付いている
 
といった内容です。本書では「答えのない課題」に対しての思考法を紹介しています。先日会社の偉い人が日頃行っている改善のことを「先が見えている改善」と表現していたのを見て、きっと全員に先が見えないような課題に取り組めるようになってほしいのだろうと考え勉強し始めてみました。
日頃の業務の中で起きることに対してもこういった思考をする癖をつけることで「答えのない課題」について考える力を鍛えましょう、というのが本書で言いたいことのようでした。紹介されている思考法は紙やペンなどの道具もいらずに出来るものばかりでしたので、試しにやってみようかなと気軽に思えました。
「答えのない課題」にどう取り組んでいくかはかなり奥が深いものなので本一冊読んでその通りにやればOKです、というものでもありません。なのでいくつか思考法を学んでみて色々と組み合わせて取り組めるようにしていくのが良いでしょう。
 
手軽な内容ですので先が見えない課題について悩んでいるけど何からすればいいのか…という方におススメです。