花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

白井智之 お前の彼女は二階で茹で死に

白井智之 「お前の彼女は二階で茹で死に」
以前読んだ「そして誰も死ななかった」が面白かったので別の作品を読んでみました。
 

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主人公の警察官は住宅地で乳児が家の中で殺害される事件を捜査していた。彼は自宅に監禁している少女に事件の犯人を推理させて解決しつつ、自分の妹を自殺に追いやった人物を追いかけていた。捜査の中で体にミミズの特徴が現れる遺伝疾患を患った男性が浮かび上がる。彼が起こしている婦女暴行事件と自分の追う人物に関係があるとして事件を解決しつつ調査を進める、というお話。
 
様々な生き物亜人がいる世界を舞台にしたミステリー小説です。
「そして誰も死ななかった」も独特な世界観でしたがこれはさらに上を行っていて、最初は何を描いているのか理解が出来ませんでした。亜人ごとにその生き物の特性を持っている設定だと把握できたら内容が分かるようになったので、最初は少し我慢が必要です。特に虫の登場が多く表現もグロテスク寄りなので虫が苦手な人は読むのが苦しいかもしれません。
肝心のミステリー面はというと、かなり質が高いです。設定が上手く使われているため他の作品にはないトリックや推理が出て来て斬新で面白い。一見すると変な物語に見せていながら最後の方の展開にちゃんとつながっているのは読んでいてスゴイと思いました
 
世界観に癖はありますが、ミステリーとしてはとても面白い作品でした。