花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

麻野涼 死刑台の微笑

麻野涼 「死刑台の微笑」

今回は暗めな作品。



主人公は少年3人に娘を殺された母親。真実を知るために地裁で3人の裁判を傍聴していたが、足を運ぶにつれて3人に対しての憎しみが増す一方となる。しかし少年法以外にも死刑反対の団体や弁護士に守られている少年3人を何とかして全員死刑にするために事件の真相を明らかにする、というお話。

少年法がテーマになっている作品です。少年法に関する作品読むのは東野圭吾の「さまよう刃」と薬丸岳の「天使のナイフ」に続いて3作目。他二つの作品と違ってこの作品はまだ少年に判決が出ておらず、いかにして少年を死刑送りにするかという内容なのでかなりダークな内容になってます。作品全体が憎しみと悪意の塊と言っても良い。

その反面で少年法は悪、という考えで話全体が進んでるので少年や回りの支援者たちに対して容赦なく攻撃していきます。キレイごとばかり言ってる人たちに思い知らせてやる、という内容なのである種のスカッとする作品かもしれない。あまりにも悪意がありすぎる主人公の行動には読んでて何度かゲンナリしました。

私はあまりスカっとなれなくて重苦しい作品になってしまいましたが、少年法に断固反対派の人たちは読むと共感できるところがたくさんあるでしょう。