花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

山田宗樹 黒い春

山田宗樹 「黒い春」
同著者の中では上位に入るおススメ作品として紹介されていました。



薬物中毒で死亡した女性の司法解剖をしていると肺に黒い斑点がついているのを発見する。サンプルを取って調べると黒い胞子が定着していることが分かり、新種の菌ではと調査が始まる。
その翌年、黒い粉を吐きながら死亡する患者の報告が全国から寄せられる。
これまでに例のない感染症として、正体の分からない病原体を相手にたたかうというお話。

感染する危険を分かっていながらも未来のために信念を持って立ち向かう姿はカッコいい。
私の職業や立場ではカッコよく英断する場面はなかなかないですが、信念を持って何事にもあたるように心がけています。

作風が後の「百年法」に通ずるものがあったので面白いです。途中までは。
しかしながら終盤に入って盛り上がってきていながら、ラストが良くない。
最後どこに着地させるか思いつかなかったのか・・・という感じです。

ラストの残念ささえなければ、という非常に惜しい作品でした。
この作品が糧になってその後の良い作品が書かれていると考えると、その片鱗が見える一冊です。