花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

社会問題

辻村深月 かがみの孤城

辻村深月 「かがみの孤城」本屋で見て気になっていた一冊。辻村さんの本を読むのはたぶん初めて。 主人公は不登校の女子中学生。部屋の鏡が光出し、手を伸ばすとそこは別空間の城へとつながっていた。そこには自分と同じように呼び出された7人の中学生がおり…

久坂部羊 廃用身

久坂部羊 「廃用身」久坂部さんの作品で最初に手にした作品。読んだ時の衝撃はかなりのものでした。 主人公は老人医療とデイケアに携わる医者。老人介護の将来について危機感を抱いている最中、ある画期的な医療方法を思いつく。それは回復の見込みのない麻…

湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー

湊かなえ 「ポイズンドーター・ホーリーマザー」本好きのコミュニティで話題になっていた一冊。今回は昔書いた書評なので英訳は無しです。気が向いたら後で追記します。こちらは短編集になっています。姉妹、同僚の男女、親子など様々な人間関係の間にある人…

押川剛 「子どもを殺してください」という親たち

押川剛 「「子どもを殺してください」という親たち」表紙を見て思わず手に取ってしまった一冊。タイトルからしてギョッとする。著者は精神を病んだ人を説得して医療につなげる仕事をしている人物で、家族ですら手が打てない状態になった患者を何人も相手にし…

麻野涼 死刑台の微笑

麻野涼 「死刑台の微笑」今回は暗めな作品。主人公は少年3人に娘を殺された母親。真実を知るために地裁で3人の裁判を傍聴していたが、足を運ぶにつれて3人に対しての憎しみが増す一方となる。しかし少年法以外にも死刑反対の団体や弁護士に守られている少年3…

春口裕子 行方

春口裕子 「行方」以前この著者の「悪母」が良かったので別の作品を読んでみました。パートで遅くなるからと保育園に預けていた娘が公園で行方不明となった。ママ友の一人が自分の娘と遊ばせるために保育園から公園に連れ出したが、目を離した際に彼女の娘と…

薬丸岳 ガーディアン

薬丸岳 「ガーディアン」好きな作家なのですが評判がイマイチだった一冊。読むか迷いましたが、この人なら大外れってことはないと考えて買いました。主人公は赴任した中学校の教師。かつてその学校は不良生徒によって荒れていたが、近年はいたって平和な学校…

東野圭吾 虚ろな十字架

東野圭吾 「虚ろな十字架」2年半前くらいに読んだ作品。東野圭吾好きなのでなるべく読むようにしてます。今月文庫化されたので、当時の感想を書かせてもらいます。 主人公は動物葬儀屋の主人。かつて娘を金目当ての強盗に殺害され、妻と二人で死刑を勝ち取る…

薬丸岳 Aではない君と

薬丸岳 「Aではない君と」去年くらいに読んだ作品です。主人公は一人息子のいる男性。ある日息子が警察に死体遺棄の容疑者として逮捕された。しかし取り調べや弁護士との面談でも息子は何も話さない。このままでは反省の色なしと厳しい判断が下されるため、…

ヒキタクニオ 触法少女

ヒキタクニオ 「触法少女」今回は本好きのコミュニティで見つけた一冊。過去に母親に捨てられ施設で育った少女が主人公。その容姿と頭の良さ、生い立ちを利用してクラスメイトや教師を下僕にして生活していた。あるとき捨てられてから一度も会っていなかった…

重松清 十字架

重松清 「十字架」主人公は中学生。ある日いじめを苦にして一人の生徒が自殺してしまう。その生徒の遺書には主人公の名前が親友として書かれていた。ところが主人公は親友というほどの仲ではなく、いじめにあっている生徒を黙って見過ごしているだけであった…

貫井徳郎 崩れる-結婚にまつわる八つの風景-

貫井徳郎 「崩れる 結婚にまつわる八つの風景」結婚にまつまるテーマで書かれた短編集です。結婚生活だけでなく、結婚したくない人の視点や婚活ビジネスの視点など結婚にとりまく現代の問題について書かれています。「狂気と企みに満ちた」と銘打ってるだけ…

薬丸岳 友罪

薬丸岳 「友罪」読んだのは随分前ですが、好きな作家さんなので書かせてもらいます。私が社会問題系の本を読むようになった切っ掛けになった作家です。ジャーナリストを目指したが挫折し、製作所に住み込みで働くことになった青年が主人公。同時期に入社した…

恩田陸 Q&A

恩田陸 「Q&A」Amazonのおすすめで出てきたので読んでみました。大型デパート内でパニックが発生し、大勢の死傷者が発生した。目撃者から「毒ガスが撒かれた」「火災が発生した」という証言があったが現場検証を行ってもその痕跡は何も発見されず、原因不明…

久坂部羊 反社会品

久坂部羊「反社会品」医療系の短編集です。7つの話が入っていて、前半3つは「今ある社会問題が悪化したらこんな未来になる」というSF世界のお話。後半4つは現代でもありそうな医療系のサスペンスなお話です。前半と後半で毛色の違う話ですがどちらもリアリテ…

小林由香 ジャッジメント

小林由香 「ジャッジメント」本屋で平積みされていて、概要が気になったので読んでみました。加害者に対して被害者がされたことと同じことを合法的に行う「復讐法」が制定されている世界のお話です。主人公は報復監視官という復讐が正しく行われているか監視…

久坂部羊 老乱

久坂部羊 「老乱」新刊が昨年末に出ていたようなので買ってきました。 年老いた義父を持つごく普通の夫婦がいた。あるとき義父が柵を乗り越えて線路に侵入しているところを保護されたと警察から連絡される。認知症の兆候なのではと妻は疑うが夫は楽観視して…

秋吉理香子  絶対正義

秋吉理香子 「絶対正義」本屋で見かけてタイトルが気になって買いました。 高校時代からの仲良しグループ女性5人がいた。そのうちの一人が「正義こそがこの世で最も大切」が口癖であった。その正義感の強さで悪事を取り除いていく姿から皆のお手本として尊敬…

村田沙耶香 消滅世界

村田沙耶香 「消滅世界」書店で見かけて世界観が面白そうだったので買ってみた。 戦争の結果、男性人口が大幅に減少したために人工授精、出産が急速に発展した世界。科学的な繁殖の方が効率が良いという理由で結婚して子供を作るということをしなくなってい…

中村文則 悪意の手記

中村文則 「悪意の手記」なぜ買ったのか忘れてしまった一冊。何が気になったんだっけ・・・主人公の少年は80%の確率で死に至る難病にかかる。死に直面して生きているものすべてに憎しみを向けて余生を過ごすことを決めた矢先、奇跡的に病気が治り退院するこ…

沖方丁 十二人の死にたい子どもたち

沖方 丁「十二人の死にたい子どもたち」書店で見かけて面白そうに見えたので買ってみました。作者の名前も見たことがある気がする。あるWebサイトで集った12人の子供たちが廃病院に集合していた。目的は全員が安楽死したいと一致したら決行するというルール…