花の本棚

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秋吉理香子  絶対正義

秋吉理香子 「絶対正義」

本屋で見かけてタイトルが気になって買いました。

 

 

高校時代からの仲良しグループ女性5人がいた。そのうちの一人が「正義こそがこの世で最も大切」が口癖であった。その正義感の強さで悪事を取り除いていく姿から皆のお手本として尊敬を集めることとなる。しかし月日が経つにつれて正義による圧迫感が息苦しくなり、それぞれが次第に嫌悪感を募らせていき、ついに嫌悪感は殺意に変わり4人で彼女を殺してしまう。ある時、殺したはずの彼女からパーティーへの招待状が届く。なぜ彼女を殺してしまったのか、その心情の変化を書いたお話。

 

最初ミステリーなのかと思ったんですが、ミステリー要素なしの人間模様を描いた小説でした。
本書のテーマは「正義があれば何をしても許されるのか」です。正義感が強い人は周りからどう見えるのか、をリアルに書いています。
私も昔から正義感が強いので、その行動や考え、周囲の目に共感したり思うところが沢山ありました。自分の正義を貫いている姿は潔くて私は好感が持てました。
正義感が強い人というのは周りから見るとハッキリ言って厄介です。思考が自己完結しているため周囲への相談といったものはせず、いきなり行動に出るため時に苛烈なことを平気でやってのけます。しかも自身では正しいことだと決め込んでいるので止めようにも説得はほぼ不可能です。味方に一人このタイプがいると普通なら二の足踏むようなことも毅然と行ってくれるので頼もしいですが、敵に回ったときの破壊力は凄まじいものがあります。のでもし皆さんの周りに正義感の強い人がいたら警戒した方がいいです。

 

テーマになっている「正義があれば何をしても許されるのか」について話すと、そもそも正義を貫くなら周りから許されるかどうかなど関係ないと私は思います。自分が正しいと思うことをするけど周りからは認められたいというのは身勝手な考えです。周囲に許されたいなら周囲の期待することを分析して自身の行動を合わせる努力をするのが自然です。

 

では本書のように正義を貫いた結果殺されてしまうのはどうなのかというと、それは自身の行動の結果なので仕方のないことです。ちょいと極端にはなりますが、私は自分の行動の結果殺されることになっても悔いはありません。その代わり、考えに考えた結果が私の正しいと思う行動が人殺しだとなったら覚悟を持って実施します。

 

読み終わって気づいたのですがこの著者の本を前に読んだことあった。あれも確か極端な発想の話でした。
ということでこの本は人を選びそうな内容でした。メインになっている女性の行動がかなり極端なので読む人によっては嫌悪感が強くて読みきれないかもしれません。
私は結構気に入ったので、この著者の本を今後読む本に入れていこうかなと思います。