花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

雫井脩介  虚貌

雫井脩介  「虚貌」



運送会社を解雇されたことがきっかけで元従業員たちが社長一家を襲撃する事件が起きた。社長夫婦は惨殺され、長女は半身不随、長男は大やけどを負う。実行犯は逮捕されたが、その一人がまわりに嵌められて主謀者に仕立て上げられたためにほかの者より重い刑罰を受けることとなった
事件から20年が経ち一番重い懲役を終えた男性が出所した。がそれを期に襲撃事件の加害者が次々と殺害されていく。主人公である襲撃事件の取り調べを担当した刑事が退職前の最後の事件として捜査するというお話。

この本では物語上でとても重要な要素として顔にまつわる話が多く出てきます。
人間の顔と心理に関する話が語られていて面白い。

身体と心は別のものですが、心に一番近い肉体は顔だそうです。言葉や表情で意志伝達するために人は顔、特に目と口に注目するようになっている。
という背景があるために自分の顔が醜いと思い込んでしまうと活動意欲が低下したり人前に出れなくなったりする。

私は顔に関しては今まで嫌な思いしかしたことなかったので鏡見たり写真写るのは嫌いでした。顔は変わらないんだから諦める、と割り切ったここ十年ほどはマシにはなってきましたがそれでも苦手意識はあります。
人は見た目が9割、なんて本が出るくらいですから見た目は大事なことですが、気にしすぎて心が醜くならないようにしないと。

とても読みやすくて分かりやすいミステリーです。上下巻ですが苦もなく読めます。