織守きょうや 「キスに煙」
織守さんの新刊が出ていたので買ってみました。
主人公は引退した男性フィギュアスケーター。彼は現役の頃に表彰台を競っていた友人でありライバルだった男性に恋心を抱いており、まだ現役選手である彼を陰ながら応援していた。
ある時かつて主人公の恋人であった男性フィギュアスケーターが自宅で転落死したと知らされる。素行が悪く恨みを買いがちだったため、彼は殺されたのではと噂が立ち始める。根も葉もない噂だと思っていたが、その頃から友人の様子が変わったことから自分を守るために彼が殺したのではと疑問に思い始めるというお話。
LGBTの恋愛描写をメインにした恋愛物になります。あらすじを見るとミステリーのように見えますが、実際の描写量で見ると恋愛描写がメインのようでした。
心理描写が非常に上手い点が本作の見所です。私自身恋愛物を読みなれてないので具体的にどうと説明が出来ないのですが、メインの登場人物たちの心理描写が非常にきれいに書かれていたように感じました。また主人公を含めて同性愛者が多く登場するという珍しい設定なためLGBTの人がどういった心情で日々を過ごしているのかを知ることができてためになる部分がありました。
ただ、物語として見るとそこまで面白い内容ではありません。転落死の真相も盛り上がりは特にないですし、ストーリー性も恋愛物が好きな人なら楽しめる部分があったかもしれないけど同性愛の描写なので興味ある人はかなり限定されるだろうという印象でした。
良い部分もあるので上の紹介を見て気になるようだったら読んでみてもいいですが、無難に行くのであれば他の織守さんの作品を読んだ方が良いでしょう。