花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

織守きょうや 彼女はそこにいる

織守きょうや 「彼女はそこにいる」
織守さんの作品で気になっていながらも後回しになっていた作品をようやく買ってみました。
 


女子中学生が母親ともに一軒家に引っ越してきた。妹とともに地域に馴染もうとしていこうとしていた矢先に、妹が神社で古ぼけた人形を拾ってきたのを境に家の中で不可思議な現象が起き始める。テレビが勝手についたり、家族のものとは違う色の髪の毛が落ちていたり、といった心霊現象のようなものを目撃するようになる。人形を捨てても次の日の朝には戻ってきていて盛り塩も破壊されているという状況に不安を募らせていると、夜中に庭から部屋の窓の方を見ている男性を目撃してしまうというお話。
 
こちらはホラー系ミステリーとなります。
あらすじから見るとホラー感がありそうなのですが、実際はそこまで怖い描写はありません。作品全体の雰囲気は軽めに作られていますし、心霊現象についてもそこまで不気味な感じでは描かれていません。ホラー部分の見所は登場人物たちが心霊現象に対してどういった考え方をするかの描写が面白いという点だと私は思っています。おそらく著者が描きたかったのもこの部分なのだろうと読み取れました。という具合なのでホラー部分の恐怖感を期待して読むのは控えた方が良いです。
ミステリーの面についてですが上記の心霊現象の正体は何かという点がミステリー要素になります。とはいえ推理したりするようなものでもないので物語を面白くするために用意されている程度の認識でOKです。
本線とは外れる話ですがLGBTのような肉体と精神の性別が異なる場合、死んで化けて出るとどちらの性別として現れるだろうか?という話が出てきたのは発想が面白くて良いなと思いました。言われてみればどっちなのだろう、と思わず考えてしまいました。
 
ホラー系となっていますが作品の内容は怖かったり重かったりということはないので、気になる方は気軽にチェックしてみてください。