花の本棚

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雫井脩介 互換性の王子

雫井脩介 「互換性の王子」
雫井さんの新刊が出ていたので買ってみました。

 



 
主人公の男性はとある会社の御曹司であった。あるとき酔い潰れて目を覚ますと別荘の地下室に監禁されていることに気が付く。監禁から半年後にようやく解放されるが、何者かが会社に彼の辞表を出していたためかつてのポストが無くなっていた。代わりにそのポストに入ったのは異母兄弟の男性であり、さらには主人公がアプローチしていた女性に対して近付こうとしているようであった。
かつてのポストを取り戻すため、情けで置いてもらった部署にて奮闘してかつてのポストに返り咲くことを誓うというお話
 
恋愛要素を含むエンターテイメント系の作品です。
本作はつまらないので読まない方が良い。端的に言うと良いところが一つもなく、すべての点において凡作以下です。
まず物語の内容ですが、ひと昔前のつまらないドラマの要素を全部集めたような感じです。主人公が入った部署に冷たい感じの優秀な女性社員がいて一緒に働くうちに彼女の方が主人公に惹かれるとか、主人公が気になっていた女性社員が実はライバル社のスパイかもしれないとか、といったようなつまらない展開が無数に出てきます。
また、上記のつまらない点に加えて物語の展開も見所が一つもない。主人公が監禁されていた理由がミステリー要素になるのかと思ったら会社のために必要な人材になるために社長が与えた試練だったり、異母兄弟のすれ違いの原因がお互い話を聞かないだけだったり、と面白い部分がない。
雫井さんはこんなつまらない作品を書くような人ではなかったはずなので非常にショックでした。一時的なスランプであればいいのですが、もう良い作品が描けなくなっているのであれば一層ショックです。
 
私は雫井さんの作品を気に入っていて新刊を買うようにしていただけに本作の質の低さは残念でした。