手代木正太郎 「涜神館殺人事件」
あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。
主人公の女性は妖精と交信することが出来る霊能者として名が知れているが、その実態は手品で騙しているペテン師であった。あるとき「涜神館」という幽霊屋敷を所持している領主から屋敷の幽霊を呼び出すために霊能者を集めているという招待状が届く。霊能は存在せずすべてペテンだと考えていた彼女であったが、屋敷に集まった霊能者たちが見せた能力の数々はペテンでは説明がつかないものばかりであり驚愕する。そのうちの一人の能力によって「涜神館」に眠る何かを示唆する情報が得られたために捜索してみると、この館で消息不明となった女性の遺体が見つかる。この屋敷に隠されている財宝が見つかるのではと領主たちは期待し始めるが、次の日の朝に領主が殺害されているのが発見されるというお話。
オカルトSF系のミステリー作品となります。
主人公の霊能はペテンだけどそれ以外の霊能は本物という設定であるため、霊能で得た情報をもとに殺人事件を解いていくという流れになります。この霊能とオカルトの部分と推理との組み合わせ方が上手くて非常に面白い。登場する霊能やオカルトに関しては説明があるのでちゃんと理解すれば事件についての推理が出来るように出来ています。その代わり説明量も結構あるので自分で推理してみたいという方は頑張って読み解く気力必要があります。
またオカルト部分の作り込みが非常にしっかりしているのも本作の見所です。オカルト的な儀式や風習、生贄といった設定が多く盛り込まれており、不気味な描写もあるので苦手な方は少々注意が必要でしょう。特に終盤に明かされる屋敷に関する説明は量が多すぎて理解するのが大変なほどでした。ここは好き嫌いが分かれる部分だろうと思います
内容に癖はありますが作り込みが深くて面白い作品ですので、気になる方はチェックしてみてください。