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小宮一慶 あたりまえのことをバカになってちゃんとやる

小宮一慶 「あたりまえのことをバカになってちゃんとやる」
最近私の会社のマネージャーたちの間で「当たり前のことを当たり前にやる」を流行らせようとしているらしく、先月私もその洗礼を受けました。こんなゴミみたいな言葉を流行らせるつもりなのか?と反発態勢になってしまったので、書籍を読んで実際のところどうなのか見極めようとして買ったのがこちらになります。

 



 
仕事において些細な「当たり前のこと」にちゃんと取り組むことでどんな良いことがあるのかを書いている自己啓発本になります。
大項目は以下となっています。
・人生は「一本のチューブ」である
・仕事はABCが大事である(A あたり前を B バカみたいに C ちゃんとやる)
・全力を尽くすということ
・運命のあみだくじの引き方
大項目を紹介するときは書籍の章立ての内容を総括するような文言に自分で改変して書いているのですが、今回は全部書籍通りにしてみました。もう薄々分かると思いますが内容は胡散臭さでいっぱいでした、これは読まなくていいです。「当たり前を当たり前にやる」とどういった効果があるかについて数値的なデータなど当然のように一切なく、「私の尊敬する〇〇さんは~~と言っていた」「私がかつて~~をしていました。だからXXが大事」という書き方なので200ページの中で80%は自慢話か他人の言葉を借りているだけという有様です。
内容の中で唯一使えそうな記載は愚直に当たり前のことをやることでその仕事の細かい内容と本質が見えてくる、という考え方でした。これは省力化するポイントなどが見えるようになるので改善活動などに役立つ良い情報になると思いました。
なんでこんな本買ったのか?というツッコミがありそうですが、「当たり前のことを当たり前にやる」に関連しそうな書籍がこれくらいしかなかったのです。マネージャーが急に流行らせようとするくらいなので書籍でもあるのかと探したのですが…他にありませんでした。書籍じゃないとしたら自己啓発系YouTuberあたりで流行っているのでしょうかね。少ないながらも知識を仕入れ自分なりに考えたのでGW明けにチームのメンバーとマネージャーに展開しようと思っています、一応。

ここから先は書籍の内容とは関係ない、完全に私の私怨から発生した考えを書いていきます。
「当たり前のことを当たり前にやる」という言葉はどうなのかという点を書きましょう。結論から言うと「ゴミみたいな言葉」から認識が改まりまして、この言葉は「ほぼゴミ」です。なぜかというとこの言葉によってプラスが生まれるケースがほぼないからです。
「ほぼ」と付けたのはこの言葉がゴミではなくなる使い方が2パターンだけあるからです。まずはその二つを紹介しましょう。1つ目はチームのマネージャーからチームのメンバーに向かって言うときです。この使い方であれば「これはちゃんとやらないとダメな事柄なのだ」とチーム全体に意識づけ出来るため、いうなれば「このチームのこれを当たり前とする」と認識合わせになるからです。これであればチームを引き締める効果があるでしょう。
2つ目は自分で自分に言い聞かせるときです。当たり前が漏れてしまわないように意識を高めて忘れないようにするという意味合いで使います。これは自分にとってプラスになるように各々好きに使えばいいので問題ないでしょう。
 
次に上記の二つ以外のパターンではゴミになる理由を書いていきます。それは「当たり前」がチームおよび個人の価値観によって異なるためです。まずチームの方から見ていく、ある仕事に対してどれくらい緻密に取り組むかはチームごとに異なります。これはそのチームにとってその仕事がどれくらい重要かによって工数のかけ具合が変わるからです。その状況で他所のチームから「当たり前のことを当たり前にやれ」と言っても、言われた側からするとこちらの事情も知らないで…と不快になって軋轢が生じるだけです。ちなみに私が先月遭遇したのは機材パーツが盗難されたときに「機材管理ぐらいちゃんとやれ、当たり前を当たり前にやれ」と他チームから指摘されるという出来事でした。私自身言われて非常にカチンと来てしまい、チームメンバーに話したところ指摘してきたチームが当たり前に出来ていない物事を粗探しし始めるという誰もプラスにならない何とも不毛な状況になってしましました。
次に個人ですが、これは仮に同じチームにいたとしてもこの言葉を使うべきではありません。こちらは分かりやすくてダイバーシティでメンバーの多様性を重視する風潮にあるためです。今日中の仕事が終わらなくても子供を迎えに行くために他メンバーに託して帰宅するのが当たり前のメンバーもいれば、終わるまで帰宅しないのが当たり前のメンバーもいます。この状況で「当たり前のことを当たり前にやる」と言って衝突していてはダイバーシティなど到底不可能なので、そもそも言わない方が良いでしょう。
以上のことから「当たり前のことを当たり前にやる」は「ほぼゴミ」であり、マネージャーたちが目論んでいるような流行らせ方は絶対やめるべきというのが私の結論です。
 
本自体は買わなくていいレベルでイマイチでしたが、ちょうどマネージャーたちのトレンドと一致したので考えるきっかけになったのは良かったと思います。