花の本棚

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佐野広美 戦火のオートクチュール

佐野広美 「戦火のオートクチュール
佐野さんの新しめの文庫を見つけたので読んでみました。

 



 
主人公の母が祖母の遺品を整理していたところ、シャネルが作ったとみられる血に染まったスーツが見つかった。祖母はかつて書記官の娘としてパリにいた時期がありスーツはそのときに入手したものと推測される。スーツが作られた経緯を知ることで祖母のことを理解したいと願う母と共にフランスへ向かうとそこにはナチスに関わる歴史的な謀略が隠れていた、というお話。
 
史実の歴史と絡めたミステリー作品となります。
ココ・シャネルは歴史上でも謎めいた部分が多い人物と言われていて、実は隠れて作った服があったという設定からIFストーリーのようなものを描いた作品です。
感想を正直に言うと私には合わない作品でした。歴史物はあまり好きではなくて、あらすじから歴史物だと見分けられなかったのです。本作も血染めのスーツのことよりもシャネルや主人公の祖母を通した歴史の描写が多くあったため、内容としてはミステリーよりも歴史物に近くなっています。ということもあってそれほど楽しめませんでした。
ただ人物たちの心情や情勢の描写の仕方は非常に上手いのは感じ取れました。よって好き嫌いを抜きに見ると良い作品になっているでしょう。
 
私は楽しめる部分が少なくなってしまいましたが、良い作品だと思いますのでこの分野が好きな方はチェックしてみてください