花の本棚

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白井智之 名探偵のはらわた

白井智之 「名探偵のはらわた」
以前読んだ「名探偵のいけにえ」が面白かったのでその前進にあたるこちらを読んでみました。

 



 
探偵の助手をしている主人公は放火事件の調査のために山奥の農村を訪れる。そこで起きた事件は探偵の推理により解決するが、その村で行われた儀式によってかつて凶悪犯罪を起こした殺人鬼の魂が蘇ってしまう。その魂に憑りつかれた者は殺人鬼になってしまうため、世間では凶悪犯罪が多発するようになってしまった。
ある時蘇った殺人鬼に殺害されたはずの彼の雇い主であった探偵が姿を現す。その肉体にはかつて多くの事件を解決した伝説的探偵の魂が憑りついており、蘇った殺人鬼の魂を地獄に連れ戻すために事件解決に協力するようになる、というお話。
 
SF系の推理小説となります。
SF設定が上手く活かれていて非常に面白いです。一般的な推理小説とはまったく違う推理の仕方、真相が出てくるので推理せずに読んでも楽しめます。事件内容だけ見ると凄惨な内容が多いのですが、そこは登場キャラたちのコミカルさで相殺しているのでそこまでグロテスクな印象を受けずに読めます。
推理物としてみても伏線のつなぎ方がとても上手くて真相の納得感があります。SF設定も上手く使われているので他の作品とは違う推理を楽しめます。その反面、本作内のSF設定をちゃんと理解していないと真相がよく分からなくなってしまうので書かれている設定説明はしっかり読んで理解しましょう。
 
推理者が好きな方にはおススメなので、ぜひチェックしてみてください。