花の本棚

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鴨崎暖炉 密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック

鴨崎暖炉 「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」
書店で見かけて面白そうだったので買ってみました。

 

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殺害に使われた密室が解けなかったために被疑者に犯行が不可能として無罪となる判例が出た。それにより密室殺人を成功させれば罪にならないとして世間では密室殺人ブームとなっており、密室の考案や殺人を請け負う「密室使い」や密室を解く専門の探偵といったものも登場していた。そんな中でミステリー作家の残した館にて密室殺人が発生する。現場に残っていた物品から密室使いによる犯行と判明し、次々と起こる密室殺人事件を解くというお話。
 
密室の謎を解くことに特化したミステリー小説です。2021年の「このミステリーがすごい!」で文庫グランプリに選ばれた作品となります。
実行するメリットがないと現実では言われる密室殺人にやる意味を持たせる世界観を作ったところが上手いです。この設定であれば犯人がバレバレでも密室が破られなければ良いのですからみんなチャレンジするだろうと納得してしまいました。
ミステリー部分は数々の密室を解く部分なのですが、どれも面白く出来ています。凝った仕掛けというよりも閃き重視の謎が多く、作中の説明からアイディアを捻りだすような推理が必要になります。謎解きゲームをしているような感覚で楽しめるので気を張らず考えられるのが良いと思います。
また作中では密室についての歴史や知識が多く説明されています。謎を解くにあたってのルール説明も兼ねているのだと思いますが、知らなかったことが多くあったので読んでいたためになりました。
 
謎解きが好きな方には楽しめる内容になっているのでおススメです。