花の本棚

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霞流一 エフェクトラ

霞流一 「エフェクトラ」
あらすじを読んで気になったので買ってみました。

 



 
主人公の探偵は名脇役と称される役者に依頼されて彼が作成した役者育成のリハーサルスタジオを訪れていた。この現場で名脇役のセレモニーを開催することとなり、それを祝うために何人もの役者の卵が集まっていた。そんな中で役者の一人がバンガローで殺害されているのが発見される。現場の建物は雪で覆われているのに足跡が一切ないという密室状態であった。その謎を解くために主人公は情報を集め始めるがそうしている間に次の密室殺人事件が発生してしまう、というお話。
 
推理をメインとしたミステリー小説となります。
感想を一言でいうと、良い部分が一つもなくてつまらないので読まなくて良いです。
まず密室や周囲に足跡がない殺人を書いているのに状況の描写が分かりにく過ぎる。密室系というのは部屋の間取りや物や出入口の位置関係がとても重要なのに部屋の見取り図すらないのは不親切すぎる。推理を売りにしている作品なのに密室現場の見取り図を付けないのは愚の骨頂です。こういったタイプで図が無くても分かるくらいの文章説明が書かれていたことは一度もありません。ということもあって本格ミステリーとしての面白さはありません。
ミステリー以外の部分もひどくて、特に登場人物たちが総じて不快な喋り方をするという点が私は気に入らない。登場するのは主に売れない役者たちなので芝居がかかった話し方をするのに下手、という設定を加味してもその言い回しの鬱陶しさが上回っていました。奇を衒うにしても狙いすぎで白々しさばかりが目立っていました。
 
以上のことから本書は読まなくて良いです。久しぶりに良いところがまったくない作品を引き当ててしまいましたが、そういうこともあるでしょう。