花の本棚

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久住四季 異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官

久住四季 「異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官」
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
去年読んで面白かったシリーズ物の最新刊が出ていたので読んでみました。

 

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都内で両手足のみ轢きつぶされた死体が発見された。被害者が半グレ組織の一員だったことから抗争による私刑と見られていた。しかし犯罪心理学者によるとそれは魔女裁判の拷問方法であり別の殺人事件の殺害方法が同じなので同一犯であると指摘される。一方で主人公の刑事は捜査情報を不正に持ち出している人物の調査を内密に依頼される。持ち出された情報の中には拷問により殺害された事件があるため、持ち出した人物は事件と関わりがあると彼女は判断する、というお話。
 
シリーズ物の第3作目にあたるミステリー作品です。
犯罪心理学者によるプロファイリングをきっかけに異様な事件の真相を明らかにするという内容。心理学者によるプロファイリングでは快楽殺人者の心理の分析や傾向を細かく説明してくれているので他の作品にはない見所となっています。また240ページほどなので展開が早く気軽に読める点も良いです。
また本作は拷問に関する考え方についても書かれていました。それによると死刑と無期懲役の間は飛躍しすぎているという社会問題があり、それを埋めるための中間刑罰として拷問が必要だという主張でした。社会問題としての視点はこれまでの1,2作目にはなかったものだったので新しい試みなのでしょう。こういった視点で拷問を捉えたことがなかったのでためになりました。
 
作中にて拷問の必要性について書かれていました。それを主張する登場人物の教授によると現在では死刑と無期懲役は無傷か死の両極端であり、その間を埋めるために必要なのが拷問というものでした。
読んだ内容を踏まえて考えてみたところ、日本限定で見るなら拷問はあった方がいいと思います。一番大きな理由は日本においては死を重んじる風習にあるからです。日本では誰かが死亡した事件については大々的に話題になりますが、その前段階のトラブルの時点では警察に相談しても相手にしてもらえないことが多々あります。その流れと同じように死刑にしづらい気質にあるとしたら、拷問によって気が晴れる被害者遺族が少しは増えるのではと考えています。
拷問があっても良さそう、という路線でここまで色々考えてみたのですが拷問するくらいなら死刑で問題ないのでは思い至りました。拷問されて釈放された人は前科持ちかつ拷問による何かしらの欠損がある人となります。この状態の人間が生きていく道があるかと考えると、犯罪組織以外思いつきませんでした。そうなると拷問後出所させても犯罪組織の足しになるだけなのでむしろ死刑にした方が良い可能性が高いという考えになりました。
拷問は廃れた当時までのやり方しかないので上記のようになりましたが、最新技術を駆使した拷問を開発したらまた話は変わってくるかもしれません。
 
軽めのミステリーですのでサクッと読みたいときにおススメです。