花の本棚

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長江俊和 出版禁止 死刑囚の歌

長江俊和 「出版禁止 死刑囚の歌」
実は今週から2週間のお休みをもらっています。オミクロンもあって気が抜けないので本でも読んでようかな、という次第です。
以前読んだ「出版禁止 いやしの村滞在記」が面白かったので別の作品を読んでみました。

 

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幼い姉弟が誘拐され殺害される事件が発生し、その事件で自首してきたホームレスの男性は死刑となった。彼は悪魔に魅入られたなどと供述していたためその真意は分からないままであった。その後彼が獄中で作成した短歌が発表されるなど何度か世間を騒がせつつも月日が経ち、かつての事件被害者の一家三人が殺傷される事件が発生する。死刑となった男性の真意と二つの事件をつなぐものを探るというお話。
 
出版禁止シリーズの2作目となります。
以前読んだ「いやしの村滞在記」と比較してミステリー面に重点を置いた作品です。二つの事件が死刑囚の和歌によって繋がっており、真相はどうなっているのかが上手く隠されています。読み終えて真相を知ってからもう一度読むことで色んなところにある伏線が見えるため、二度楽しむことが出来ます。そういった点から推理や謎解きが好きな方でしたら間違いなく楽しめる内容となっています。
また今作は人間の悪意をテーマに書いています。物語が進むにつれて登場人物たちが持つ悪意が明らかになり展開が変わっていくのも面白い点でした。ミステリー面の真相でも重要な要素となっているのでこの点も着目しながら読んでいくと一層楽しめると思います。
 
ミステリーが好きな方は一読の価値があるのでぜひ読んでみてください。