佐藤青南 「ストレンジ・シチュエーション 行動心理捜査官・楯岡絵麻」
GWに入りました。買い貯めした本を読んでいきたいところです。
以前同じ主人公の本読んだのですが、いつのまにやらシリーズ化されていました。
主人公は行動心理学を使って嘘をついていることを見破ることで自供率100%を誇る捜査官。
内容は最初に起きた事件の真相を探りつつ、途中で何度か起きる事件を解決するという長編一本と短編の複合構成です。
このシリーズの個人的に気に入ってるところは主人公が超人過ぎないところです。嘘を見破るという設定だと具体的にどういう嘘をついていて真実はこうだ、という物凄い読みをすることが多いですが、この主人公は嘘をついていることや隠し事をしていることだけしか見破れず具体的に真実が何かまでは言い当てません。そこを明らかにするのは普通の調査だったりするのでリアリティがあって私は好きです。
短編を読んでいると、今回は人の好き嫌いに関する心理学が多く出ていました。こういう行動をすると好きだと錯覚しやすいというのもありました。
作品の内容から外れる話になりますが、「自分のこと好きなんじゃないか?」と勘違いしてトラブルになるケースを何度か見たことがあります。その人は好かれるだけの行動をした自信があるということですから、勘違いが出来ること自体がまずスゴイことだといつも思います。
私は人から好かれてる、と自身で感じ取ったことはほとんどありません。人から好かれるための努力を何もしていないからです。努力してないのに人から好感をもたれたいと考えるのは身勝手なので、好感については最初から何も期待していません。
人から好かれたいなら自分を変えて好かれる努力をしましょう、と本作の中でも言われていました。
今の社会を見ると「ありのままの自分でいたい」と「他人から承認されたい」という相反するものを人間関係の中に求める傾向にあるので、人間関係にストレスを持つ人が多いのではないかなと私は思います。どっちかを切り捨てれば人間関係に悩むことはそんなにないでしょう。
心理学とかが好きな人が読めば面白いシリーズになりそうです。
その反面、嘘を見破るという設定上爆発的に盛り上がるようなシーンはありません。なのでこの内容のままドラマ化などをしてもあんまり楽しくなさそう。
刑事物を期待して読むとがっかりすると思うのでそこだけ注意しましょう。