花の本棚

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竹本健治 涙香迷宮

竹本健治 「涙香迷宮」
「このミステリーがすごい!2017年度版 1位」というのに惹かれて買ってみました。



主人公は天才と称される囲碁棋士。ある旅館で囲碁をしている最中に殺害されたと思われる遺体が見つかる。主人公には残された盤面から何か分からないかと依頼される。その後、黒岩涙香が残した暗号が残っているといわれる跡地に泊まり込みで暗号解読をすることになる。
天才棋士は果たして暗号を解くことが出来るのか、というお話。

私が今まで読んだミステリーの中で最低の作品となりました。読む価値のない作品です。
ミステリーとして面白い要素が一つもない。これをミステリー小説として世に出した筆者は正気じゃない。

これで終えてもいいのですが、何がつまらないかも書いておきます。
本書は350ページほどの内容なのですが、約230ページがミステリーと一切関係ないウンチクに使われています。主人公が如何に天才か語るのに何十ページも費やし、黒岩涙香が如何に天才かの解説に百何十ページも費やし、という有様です。ミステリーの序章を見せられてから、その謎が進展し始めるまでにこのウンチクが200ページもあります。本書に出てくる黒岩涙香が残した「いろは歌」はおそらく筆者が独自で考え出したものであり、それを登場人物たちが褒めちぎってるという絵面はただただ気持ち悪い。
そんなものを読みたくてこの本を買う人はいません。

肝心のミステリー要素はかなり酷い。ほとんどの謎は主人公の天才的な閃きで解決するので読者には情報提供がありません。いろは歌を使った暗号も日本語に関する知識が相当ないと解けません。辞典を引いて言葉を調べてどれが当てはまるかという作業が必須になります。本の中の情報で謎が完結してない時点でミステリー小説として失格です。

本格ミステリーということで本気で解く気で手に取りましたが、特に解く場所もなかったので流し読みしました。2017年度の「このミステリーがすごい!」は八百長かもしれませんね。よく見たら絶賛してる作家たちは私と相性悪い人ばかりだった・・・。