花の本棚

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雫井脩介 検察側の罪人

雫井脩介検察側の罪人

 


東京地検のベテラン検事と教え子の若手検事が主人公。ある事件の容疑者にかつてベテラン検事が世話になった人の娘を殺害した事件の犯人と目された人物がいた。すでに時効となっているため今度こそは法の裁きをと決意し、犯人に仕立てあげる工作を始める。
一方でその事件を担当する若手検事は捜査の強引さに疑問を持ち検事を辞めて犯人の弁護側に付いてベテラン検事と対立する、というお話。

正義を題材とした話です。ミステリー要素よりも人間ドラマ部分がかなり面白いです。
二人の検事がそれぞれの正義を持ってぶつかりあうところは読み応え十分。正義って言葉好きなのでこういった話だとのめり込んで読んでしまいます。
若手検事の方が法の下の正義で、ベテラン検事の方は己の信念の下の正義といった印象でした。

絶対正しいというものはないから自分の考えが正義だと思い込むな、という話はよく聞きます。
誰の考えが正しいかわからないなら、もしかしたら今回は自分の考えが正しいかもって可能性に賭けて自分の正しいと思うことすればいい、というのが私の考えです。
どっか間違ってたら分かった時点で直していけばいいんです、たぶん。

そんな考えを持ってたので、ベテラン検事の考え方が自分の目指したい姿と合致してて引き寄せられるものがあった
自分が正しいと判断したことを貫いて、その結果何が起きても言い訳せずすべてを受け入れる覚悟をもって行動するスタイル。
周りから見れば面倒な考え方かもしれませんが、私にはその姿勢が素敵に見える。

最後の方も結構感動的で良かった。