知念実希人 「白銀の逃亡者」
小休止がてら気に入った著者から軽く読める本を選んできました。
主人公は外科医。感染すると死亡率95%のウィルスが世間を脅かしていた。その病気は死亡せずに奇跡的に完治すると超人的な身体能力を持つようになることから生還者は「ヴァリアント」と呼ばれ隔離施設に収容される法律となっていた。隔離施設から逃亡してきた少女と出会った主人公はヴァリアントが人間らしく暮らせるようにテロを起こそうとしているので計画に協力して欲しいと懇願される、というお話。
SF小説なのですが世界観や設定がちょっとカッコいい。雰囲気がライトノベルっぽいです。
逃亡や戦闘のシーンなどよりも主人公が手術してるシーンが一番気合入って書かれている。臨場感あってリアルなんですが、盛り上げる場所間違えてるような気もする。この作者が医療系の本書いているからなんだとは思いますが。
病気関係に関してはシリアスなことが書かれています。
医学的に人には移らないと証明されていても思い込みから来る不安によって差別や弾圧に合う、というのはリアルに書かれています。最近話題の被災地から移り住んだ学生が学校でいじめにあった、というのも似たような話だと思います。差別をする人たちは不安とストレスを解消することを目的として差別をしているためどんな説得でも通じることはありません。説得に応じてしまうと自分が間違ったことをしたと認識することとなって余計にストレスを抱えることになるからです。攻撃することでそれ以上に快楽が得られるターゲットを差し出すのが手っ取り早いのですが、これだと対象がすげ変わるだけなので結局解決はしませんね。そういう人たちに労力使うのは無駄なので無視するのが最善だと思います。
もろにライトノベル読むのは抵抗あるけど、それらしい系統の本が読みたいという人にはおススメです。