松城明 「蛇影の館」
あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。
人工生命体の「蛇」が人間に寄生して暮らす世界でのお話。女子高校生に寄生していた主人公の「蛇」は学校帰りに何者かに襲撃され人間の体が死亡してしまったが、その場に居合わせた同級生に寄生し直すことで難を逃れる。その後同胞の蛇たちも襲撃されていると確認され、うち一人が行方知れずになっていると判明する。その一人が自分たちを抹殺するために人間の中に潜伏していると考え、全員の前で蛇の姿を見せてから人間に寄生することで潔白を証明することとなる。
寄生先に選ばれた主人公の部活のメンバーを山奥の館に連れてきたところ、蛇の同胞たちが次々殺害されてしまう。どの人間が裏切り者の蛇なのかを探る、というお話。
SF系のミステリー作品となります。人工生命体「蛇」についての説明(特殊設定のルール)は詳しく書かれているので、そのルールの中で推理していくのが本書の流れとなります。
独自の特殊設定を活かし方が非常に上手いのが本作の見所となります。同胞を殺害したのは誰なのか?生きているとしても生存しているメンバーの誰かに寄生しているのか?といった様々な謎が用意されており、パズルのように解ける仕掛けになっているのは読んでいて面白い。作中に散らばっている伏線や謎の真相についても特殊設定をちゃんと読むと納得できる構成になっているので、自力で推理してみても楽しめるでしょう。
作品の雰囲気はかなり軽く作られており、登場キャラなどはライトノベルのような雰囲気で描かれています。全体的にもそこまで深い話にはなっていないので手軽に読めるのも良いところだと思います。
特殊設定系のミステリーが好きな方には楽しめる内容となっているので、気になる方はチェックしてみてください。