花の本棚

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敷島シキ 解剖探偵

敷島シキ 「解剖探偵」
あらすじを読んで面白そうだったので読んでみました。

 



 
主人公の新人刑事には殺害された被害者の霊を見る能力があり、今見ている首吊り死体の現場にも霊がいることから自殺ではないと気づいていた。しかし現場の状況から自殺と判断されそうになり困っていると、解剖医が検案に来たのだが地雷系ファッションとメイクに白衣と言う奇抜な姿で現れた。だが彼女の腕は優秀で遺体の状態から自殺かあやしいと言い、遺体を解剖することで他殺だと判断できる材料を探し出すことに成功する。他殺された被害者は解剖医の所属する病院の悪事を暴露したYouTuberであり、遺体の状況から犯人に医療知識があることから院内に犯人がいるとして調査し始める、というお話
 
解剖から得た情報によって謎を解く、という風変わりなミステリー作品となります。
他のミステリーですと死亡推定時刻の割り出しくらいでしか登場しない遺体検案ですが、そこにフォーカスを当てようという発想が面白い。読んでみると解剖に関しての解説が詳しくされており、こんなにいろんな情報が分かることを知ってとてもためになりました。上記の他にも遺体の解剖はどんなことをしているのか、実は日本だと解剖される遺体が少ない理由といったあまり語られないことが書かれているのも本作の見所の一つになるでしょう。
本作には副題としてネット上の誹謗中傷に関することが描かれています。何やら唐突な感じもしますが、珍しいにしても解剖だけではさすがに地味すぎるので社会問題に関する部分も取り入れたのかもしれませんね。
また本作は登場キャラクターなどを駆使してかなりライトな作風になっていて読みやすく作られています。個性的で面白いキャラクターが多く登場するのでここも本作で楽しめる部分になるでしょう。
 
作中にてネット上では注目を集めるために主語を大きくする傾向にあり、それにより不用意に人を傷つけている、という話が出てきました
私もネット上に書評を投稿している身なので主語の書き方は気を付けています。とはいえネット上なので個人名を出すわけにはいかないので主語を一段上げてぼかしたりするのは配慮として必要なことです。そこで私が心掛けていることとして主語はぼかすけど自身が経験していないことは絶対書かない、というものです。具体的には仮に誰かが私の書評を見たり、私が誰かに話したりしたときに例えば誰?とか具体的にどういう状況?とか聞かれて実名や実体験が挙げられないことは書かないようにしています。例えば過去の書評においてですと就職氷河期世代の人たちから受けた出来事があります。さすがに本人の名前を出すわけにいかないので「就職氷河期世代の人」や「先輩」と主語を大きくして書いています。ですが私と現実で付き合いのある方には誰か見当がつくように書いていますし、誰のこと?と聞かれたら正直に答える心づもりでいます。それが出来ないのだったらネット上に出さない、というのが書評を書くにあたっての私のルールとしています。こうすれば私と接点のない人が傷つくことはおそらくないだろう、と考えています。
 
解剖がテーマという珍しい作品ですので、気になる方は気軽にチェックしてみてください。