花の本棚

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篠田節子 鏡の背面

篠田節子 「鏡の背面」
コミュニティで薦められていたので読んでみました。
 

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何らかの依存症によって生活が成り立たなくなった女性たちが支えあって暮らす施設で火災が発生し、施設のリーダーの女性が死亡した。皆から慕われていた彼女であったが、遺体を調べた警察から別人であると報告される。しかも遺体と一致した人物は過去に殺人事件の容疑者となっていたため、施設の女性たちは困惑し始める。過去に彼女を取材した記者と共に成り代わりの真相を探るというお話。
 
依存症の女性たちを描いたミステリーとなります。
本作は私には合いませんでした。理由は膨大なページ数のわりに脇道の話の描写にページを割きすぎているからです。本作は600を超える長さではありますが、依存症女性が施設にやってきた背景や人物の生い立ち(設定)の詳細など本線の話に関係ないことが半分以上を占めているからです。私はこういった手法でのページの嵩増しは嫌いなので早く本編を進めて欲しいと思いながら読んでいました。おそらく無駄な描写を削ったら250ページくらいの作品になるでしょう。
依存症女性の実態を知ってほしいと願って著者は細かに描いたのかもしれませんが、それを読みたくて本書を買ったわけではありません。これで賞が取れるということは、読書が好きな方々は何らかの依存症を抱えている人が多くて共感する人が多いのかもしれません。
 
評価が高い作品でしたが私には楽しめる内容ではありませんでした。
背景描写が細かいのが好きという方であれば楽しめると思います。