花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

おぎぬまX 爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー

おぎぬまX 「爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー」
タイトルに惹かれて買ってみました。「このミス」大賞2023の隠し玉の一つとなります。

 



 
主人公はご当地ヒーローの運営会社でヒーローや怪人をデザインしていた。あるとき少年が誘拐される事件が発生したが、誘拐犯が殺害されて少年は救出された。その少年はヒーロースーツを着た「正義のヒーロー」が助けてくれたと話し、その姿を描いてもらうと主人公が初めてデザインしたヒーロースーツとそっくりであった。しかしそのヒーローはある会社が宣伝用に作成依頼したもので、お披露目前に倒産してしまったため表には一切出ていないヒーローである。似ているのは気のせいと言われたが倉庫を見に行くと保管されているはずのスーツは無くなっており、自分がデザインしたヒーローが事件を起こしていると疑い始めると言うお話。
 
ご当地ヒーローを題材としたミステリー作品となります。
題材がユニークということもあって他の作品にはない視点での推理が楽しめる内容となっていました。顔を隠すにしてもむしろ目立ちそうなヒーロースーツで犯行に及んだのはなぜか?お蔵入りになったヒーロースーツをわざわざ使った理由は?などこの題材だからこそ生じる謎が描かれています。このミスの隠し玉とされるだけあってミステリーとしての質も高くて伏線の張り方と回収の仕方は非常に上手く面白い。
また登場人物たちも特撮系に思い入れがあるという設定なので癖のあるキャラばかりでミステリー部分以外にも楽しめる部分があって良い。
主人公が務めている会社の様子も描かれているため、ご当地ヒーローの運営がどうなっているのかという何とも珍しい裏事情を知ることが出来ます。町興しのためにゆるキャラなどのご当地キャラが色々と作られていますが、それらはどうやって誕生したり活動したりするのかというお話は面白かったのでこちらも見所になるかと思います。
 
一風変わった題材でミステリーとしても面白いので、気になる方は読んでみてください。