花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

澤村伊智 うるはしみにくし あなたのともだち

澤村伊智 「うるはしみにくしあなたのともだち」
澤村さんの作品で気になるものを見つけたので読んでみました

 



 
ある高校にて女子生徒の自殺が発生する。その生徒はクラスでNo1の美人と評されていたため、多くの生徒や知人たちが悲しんでいた。生徒たちの尽力もあってクラスは平穏に戻ったと思われたが、No2とされていた女子生徒が授業中に顔中からニキビが突如発症して顔が醜く変わってしまった。その後最初に自殺した女子生徒も老婆のような顔に変えられていたことが判明し、それは「ユアフレンド」と呼ばれる呪いによって起きたことと噂され始める。
誰が生徒に呪いをかけているのか、その目的は何なのかを探るというお話。
 
ホラー風ミステリーの作品となります。
本作は顔の美醜をテーマにしているため、女性たちがどういった悩みを持っているかをリアルに描写しています。顔立ちは生まれ持ったものが強く出るのは周知のことではありますが、その子家庭内で顔立ちについてどう扱っているかが最も問題になるという点を著者は主張したいように読み取れました。顔立ちに関しては私も悩んだことがあったので読んでいて共感したり、ためになった考え方に触れることが出来て有意義でした。
ミステリー面の方はというとこちらも上手く作られています。他人の顔を醜く変えることに執着しはじめたのかという点が非常に深く書かれています。上記の顔の美醜にまつわる悩みの部分とのつながりも良く出来ているので読んでいて楽しめました。自力で推理するような作風ではないので雰囲気を楽しみながら読むのが良いと思います。
 
作中では自分の顔が他の子と比べて醜くて悩む女子学生たちが多く出てきます。顔に関する悩みは私も経験があるのでその心情はある程度理解しているつもりです。
歳を重ねた今でも私は自分の顔が嫌いです。今までの人生の中で顔を起点に他人から攻撃されたことがあるのに対してプラスに働いたケースがないからです。中高生の頃の私は今よりもかなり中性的な顔立ちだったのでそれを理由に攻撃されていました。大学は周囲に理解ある人に恵まれたので気にならなくなった、と思っていたら社会人になると一度も苦労したことのなさそうな顔ということで再度攻撃され始めてしまいました。という経緯もあって自分の顔は邪魔としか認識していません。
中高生の当時は手段が選べなかったので火や薬品で顔を焼いてしまおうかと考えていましたが、今は社会人なので整形で解決出来ます。顔の悩みで精神的な苦痛を受けるのを整形で解決するのはお金の使い方としてはかなり有益だと考えています。ただ私の場合だとわざわざお金出して「苦労を重ねて疲れてそうな顔にしてください」なんて注文するのは馬鹿らし過ぎるので、そのお金を賄賂や武器に使って相手を除去してしまった方がコスパが良いでしょう。
 
ホラー風と紹介したようにホラー感はそれほど強くないので、気になる方は気軽に手に取ってみてください。