花の本棚

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神津凛子 オイサメサン

神津凛子 「オイサメサン」
神津さんの新刊が出ていたので買ってみました。

 
主人公の女性は小学生のころから霊が視えるようになった。特に赤い服の女性の霊をよく見かけ、霊への対策として「オイサメサン」の指輪という祖母からもらった魔除けを身に着けて暮らしていた。あるときバイト先にて霊を祓う力を持つ男性と出会う。彼はオイサメサンのことを知っているようだったが、彼の母親がオイサメサンと名乗る霊能詐欺師に騙されたことから主人公が霊の話をしても聞く耳を持たなかった。その後バイト先の同僚が何者かに殺害されているのを発見するが、彼女の霊に呼ばれて現場に行き着いたとは言えず同僚の弟に不審に思われて犯人と疑われてしまう、というお話。
 
オゾミスと呼ばれるホラー系ミステリーの作品となります。
呼び方の通りおぞましい描写によるホラー部分が見所となっています。これまでは人間の不気味さを描いている作品が多かったのですが、本作は本物の霊を描いているのでよりホラー色が強くなっています。なので心霊系のホラーが苦手な方は気を付けた方が良いかと思います。
霊は強い思いを残しているから現れる、という設定になっているため登場する霊の思いが何か、という点がミステリー部分となります。こちらについては推理したりする必要はないので物語を楽しむ方に注力するのが良いでしょう。
全面的に霊能をここまで出してくることは過去作ではなかったので神津さんは路線変更したいのかな?と思えましたが、最後まで読むと神津さんらしい面白い展開もありましたので、ここも見所になる部分でしょう。
 
ホラー系が好きな方にはおススメできる作品になるかと思います。他の神津さんの作品を読んだ方から見ると毛色少々異なるので、気になる方はチェックしてみてください。