花の本棚

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矢樹純 妻は忘れない

矢樹純 「妻は忘れない」
矢樹さんの作品で気になるものを見つけたので読んでみました。
 

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家庭の秘密をテーマに描いた短編集です。
家族の一人が秘密を抱えており、それが元で不穏な出来事が起き始めその真相を母親が探るというのが各章の流れとなっています。
以前読んだ同著者の「夫の骨」とテーマ、雰囲気が似ていますが、本作は秘密がありつつも消えない家族の絆にフォーカスが当たっています。家庭が崩壊するかもという雰囲気で進みながらも事の真相が明らかになるとそこには家族の絆が見えるように描かれていて読んでいて面白いです。つまり「夫の骨」とは各章の終わり方が暗いか、明るいかで違います。
また各章にミステリー要素があります。伏線が上手く隠されていて各章の最後に展開がガラッと変わるのでこちらも面白い部分だと思います。推理が好きな方であれば真相を自分で予想しても良いでしょう。
 
短編でありながら各章の質が高いのでおススメです。