花の本棚

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織守きょうや 花束は毒

織守きょうや 「花束は毒」
書店で見かけタイトルが気になったので読んでみました。

 

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主人公の大学生はかつての家庭教師と再会した。彼は近々結婚を決めていたのだが、それを境に結婚の取り止めを求める脅迫状が届くようになる。彼の力となるために主人公はかつていじめ解決のために頼った探偵をしている先輩に調査を依頼する。しかし当事者の彼は調査に対して前向きになっておらず不審に思っていると、彼は過去に強姦事件を起こして示談をしていることが判明する。誰が何のために脅迫状を出しているのかを探るというお話。
 
ミステリー作品で、内容としてはイヤミス系になります。
ミステリーと銘打っていますが読んだ限りではイヤミス系の方に注力されている印象でした。脅迫状が送られた理由の部分はミステリーとして見るよりもイヤミスとして読んだ方が楽しめます。
ミステリーとして見ると中盤までは淡々と関係者を調査していて、終盤にかけての一気におぞましい事実が判明するという展開は驚きでした。
ということもあり推理するよりは話の展開や雰囲気を楽しむように読むと良いです。
 
作中にて一度過激な手段を取って上手くいくとそれに味を占めて同じ過激なことを繰り返す、という描写がありました。過激な行動で周囲をコントロールしようとする人は私の周囲にはさすがにいませんが、大げさな物言いをして気を惹こうとする人は見かけます。
例えば調子が悪い時に毎回「死にそう」と言ったり、嫌なことがあったときに「発狂しそう」と言ったりするようなシーンです。私はこういった大げさな表現が嫌いです。一時的に場を盛り上げるために使うのであれば分かるのですが、常時使うのは気に入らない。上記の表現であれば実際に死にそうな状況になったことや本当に発狂したことがあるなら使ってもいいのですが、一度もないのに使うのはウケ狙い感が強くて白々しいので私は言いません。せっかく日本語には多くの表現があるのですから相応しい言葉を選びたいというのが私の考えです。
 
イヤミス系が好きな方にはおススメです。
織守さんの作品はこれが初めてでしたが、面白かったので他の作品も読んでみることにします。