花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

薬丸岳 「蒼色の大地」

薬丸岳 「蒼色の大地」
薬丸さんの新刊が出ていたので買ってみました。
 

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明治時代に青い目を持った人間たちは「青鬼」と呼ばれて差別の対象となっていた。青い目を持つある青年が罪人の流れ着く島で海賊として暮らしており、その島では青い目を持つものは高い位に就いていた。一方で彼の幼なじみである青年は海軍に所属し、上官からも目をかけられていた。彼はあるとき海賊討伐の任に就くこととなる。彼らは幼なじみではあるが対面すると不快感が沸き上がることから、妹を助けてもらったこと以外には深いかかわりは持っていなかった。
古来からの血筋が生む争いを書いたお話です。
 
SFエンターテイメント系の作品となっています。
青色の目をした人間と耳の大きな人間が対立する世界観を書いています。生まれながらの血筋の因縁を差別と偏見として書いていました。今回はエンターテイメント系なので薬丸さんの作品に多い社会問題を絡めた話はそこまで出てきませんが、映画を見ているような感覚で読めます。
この作品は世界観を共有し時系列を変えて様々な作家さんが作品を書く「螺旋プロジェクト」という企画の作品のひとつです。朝井リョウの「死にがいを求めて生きているの」や伊坂幸太郎の「シーソーモンスター」などもこの企画に沿った作品です。読んでみた感じでは世界観が同じなだけで具体的な繋がりはないので全部の作品を読む必要はなく、順番も気にしなくて良さそうです。苦手な作家さんは読まなくてもいいと分かり助かりました、伊坂幸太郎は苦手なので読みたくなかったので。
 
螺旋プロジェクトに関係なく、エンターテイメント系の作品としては面白いのでおススメです。