花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

東野圭吾 夢幻花

東野圭吾 「夢幻花」

読んだのはこの本が出たばかりのとき。何年か前に単行本化していたはずです。

この作品の雰囲気好きなんですよね。



一人暮らしの老人が殺害される事件が起きる。その老人は花を育てるのが好きで、それらをブログに上げるために孫が訪れた際に発見された。
その中に特別大事に育てていた花の鉢が事件後盗難されていることに気付いた。
その花の写真をブログに上げるのを止められていたが、これを期に上げてみたところ江戸時代に焼失した黄色いアサガオと発覚し、その謎を追う話。

内容が軽くてサクッと読めます。広げた話もまとまっているので読みやすいです。花に関する話や人工的に絶滅した生命を蘇らせることに関する話などは面白い。

読んでて気になったのは終盤に出てくる才能の話。
「才能を活かして生きるのは持って生まれた人の義務だ。それを重荷と感じるのは贅沢なこと。」とのこと。せっかく才能持ってるんだから活かさないのは勿体無いというのは分かるのですが、「もっと恵まれてない人がいるんだから頑張りなさい」系の言葉は好きになれない。
大半の人は自分にどんな才能が備わってるか理解せずに一生を過ごすような気がします。何かの拍子に「これが出来るのは当たり前ではないんだ」と気づけたら御の字ですかね。

ただし東野圭吾作品にしては物足りなさを感じます。

物語を楽しむために読むか、あるいは東野圭吾読んだことないって人の導入には合っていそうな気がします。