花の本棚

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天野節子 容疑者は何も知らない

天野節子 「容疑者は何も知らない」
あらすじを読んで気になったので読んでみました。

 



 
印刷会社に勤める男性は失態で降格、左遷させられてから不貞腐れた日々を送っていた。ある日、会社で偶然知り合った女性からブティック経営を立ち上げるメンバーになってもらいたいと誘われ、自分の能力が活かせるとして誘いを受ける。
その後、彼は金を借りていた同僚を殺害した後に投身自殺してしまうが彼の妻は夫が小心者であるために殺人など出来ないと主張して事件の真相を探ろうとする、というお話。
 
警察の見込み捜査で処理した事件を調べなおすというミステリー作品。
本作はミステリーと呼べる代物ではなかった上に内容も面白くないです。
まず話のつなぎ方が雑な部分が多い。例えば夫が家にあったカタログの空白になぜか何か書きたくなって後日会う予定の相手のあだ名と日時を書き、それを妻が見つけたことで事件の関係者に気付くというものがありました。このように多くの部分でつなぎ方が雑すぎて、事件の真相にたどり着いたのはただの偶然でしかなくなっています。最後まで読んでも殺人をしていない夫が投身自殺したのは精神的なノイローゼでした、としか説明がなかったりとミステリーとして成立していない部分が多すぎました。
次に気に入らないのが話の引き延ばしが多いことです。上に書いた事件が本作のメインになるはずなのですが、事件が起きるまでに200ページもかかります。それまでに何が書いてあるかというと自殺した夫がひたすら不貞腐れている様子が描かれていて、いかにプライドが高いだけの小物かを見せつけているだけです。そんなものを200ページも読まされたら楽しめるわけがない。
 
ミステリーとしても面白さはなく、それ以外の部分でも見所がひとつもないので読まない方が良いです