石持浅海 扉は閉ざされたまま

石持浅海　「扉は閉ざされたまま」

本格ミステリ大賞の最終候補まで残った作品だそうです。

大学の同窓会で7人のサークル仲間が高級ペンションに集まった。主人公はそのリーダー格の男性。客室で友人を殺害し、完璧な密室を作り上げることに成功した。
現場の多くの要因が重なることで狙い通りの自殺説も浮上し完璧に見えたが、一人の友人が疑問を抱く。
密室が開かないまま二人が頭脳戦を繰り広げる、というお話。

初めに犯人視点で密室殺人が行われ、読者には最初から犯人も仕掛けも分かっている状態で読み進めていきます。暴かれないようにどう立ち振る舞っていくかという流れです。

終盤まで密室開かない上に遺体すら見てない状態で犯人を暴くという珍しさと少ない状況証拠や発言、行動から理詰めしていって追い詰めていくシーンは読んでて面白い。
理詰めで行くのかと思ったらあなたの性格だとあの場面でそういう発言はしない、というゆさぶりもあり、頭脳戦と銘打ってるだけはあると思います。

ただ、明確な証拠を持って話をする場面はあまりないので、カチッとしたミステリーを期待して読んではいけません。

一風変わった作品で新鮮でした。