秋吉理香子 「殺める女神の島」
あらすじを読んで面白そうだったので買ってみました。
リゾートアイランドにミスコンの最終候補者たちが集められていた。主催者と最終候補者だけがその島に残り2週間共同生活する様子を審査してグランプリを決定する、という内容であった。経歴も様々な候補者たちが各々の特技を活かして協力し合っていたが、翌日の朝に主催者が何者かに襲われて意識不明の重体となる。
現場の状況から候補者の中に犯人はおらず外部犯によるものと作家である候補者が推理して場を鎮めるが、その後候補者の一人が殺害されたために犯人は候補者の誰かだと考え始める。そのことをきっかけに候補者たちが隠していた嘘や本音を互いに暴露し始めて、冷静に犯人を探ることが出来なくなってしまう、というお話
女性同士の争いを描いたミステリー作品となります。
ミスコンのグランプリに向けて各候補者がどんな野心や執念を持っているのかいう心理描写と、疑心暗鬼になったときに互いを貶め合う悪意の描写がリアルな点が本書の見所となります。ミスコンが舞台という設定により候補者たちの執念深さやしたたかさがより強く引き出されていて、秋吉さんらしいイヤミスな部分が上手く描かれているので読んでいて面白い部分でした。
ミステリーとしてみると、設定の使い方が非常に上手いです。ネタバレになってしまうので詳細は明かせませんが、ミスコンという舞台だからこそ成立する真相だなと感心してしまいました。ただ真相そのものは描写から推理できるようになっていないようなので、自分で推理せずに物語を楽しむ方が良さそうです。
イヤミス系の中では比較的に軽めだと思いますので、イヤミスをサクッと読んでみたい方にはおススメです。