月原渉 「首無館の殺人」
月原さんのシリーズ物です。最新刊を先に読んでしまったので過去のものを読んでみました。
首のない像が多数あることから「首無館」と呼ばれる屋敷に商人の家族と使用人たちが暮らしていた。あるとき商人の妻の首無し死体が発見される。遺体が本当に妻なのかを探るために無くなった首を探していると妻の首が空中を漂っているのを目撃する。
一方で病気により記憶を無くしている娘は家族が殺害されていく状況であるのに冷静でいる自身に対して違和感を覚える。首のない死体は何を意味しているのかを探るというお話。
シリーズ物のミステリー小説です。
内容は純粋なミステリーとなっていて、質が高くて面白いです。犯行法、動機、娘の正体と最初から最後まで随所に伏線が張られていて、その繋がり方も上手いので推理しながら読むと楽しめます。
この作品は順番でいうと「犬神館の殺人」の前の刊にあたる作品となります。「犬神館の殺人」と比べるとミステリーとしての色が強くて要素を詰め込んでいる様子がありません。「犬神館の殺人」が次の作品ということは新しい路線を模索しているところだったのかもしれませんね。私としては色んな事に挑戦してくださる作家さんはとても好印象で応援したくなります。
推理物が好きな方ならきっと楽しめる作品です。