花の本棚

読んだ本の感想や考えたことを書いています

柚月裕子 盤上の向日葵

柚月裕子 「盤上の向日葵」
読もうと思って先延ばしになっていた作品。

 

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ある山中で白骨化した遺体が発見される。その遺体は価値の高い将棋の名駒と一緒に埋められていたため、駒の持ち主を手掛かりに捜査を進める。一方で世間は将棋ブームであり、異例のルートでプロ棋士になった男性が日本中から注目を集めていた。そんな彼が初タイトルを賭けて対局に臨んでいたが、幼少の頃から壮絶な人生を歩んでいた。
名駒のまわりに起きた事件を探る、というお話。

柚月さんの作品の中でも名作と名高い作品です。最近映像化もされています。
柚月さんの作品をいくつか読んできたのですが面白いと思える作品と会えず、この作品の感触で相性を確かめようという心持ちで読みました。
読んでみた感想は、面白くありませんでした。
一言で感想を言うとすべての面において浅い作品です。ドラマ化するのを狙ってワザとやったのでは?と勘ぐってしまうくらいです。「慟哭のミステリー」と帯に書いてありますが、ミステリーとしても人間模様を表すにしても内容が薄い。
まずミステリーとしてみると、驚くような展開が一つもないい。本作のミステリー部分は「山中の遺体の犯人は誰なのか」と「なぜ名駒と一緒に埋めたのか」の二つなのですが、どちらもただ読んでいるだけで結末が分かるレベルです。というよりそれ以外の結末だった話にならないと思えるくらい。
人間模様の方で見ると、これまた浅い。明日のお金を取るか取られるかのひりつく将棋の勝負、を描いて興奮と恐怖が同居したような雰囲気を描いているはずなのにイマイチ凄さを感じなかった。それパチンコ打ってる人と同じなのでは?と冷めた目で見ていました。
これらの絡め方も良くなくてブツ切りみたいな印象ですし、結末もなんだかパッとしない、などどの方面から見ても良い部分が見当たりませんでした。

残念なことではありますが、柚月さんとは相性が悪いという結論になりました。
久しぶりに相性悪い作家さんリストが追加されました。