花の本棚

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方丈貴恵 孤島の来訪者

方丈貴恵 「孤島の来訪者」
本作が「時空旅行者の砂時計」の続きにあたるということで読んでみました。

 



 
主人公の男性は幼馴染を死に追いやった人物に復讐するために、番組制作会社のロケに同行していた。ロケで訪れた無人島には秘祭の伝承が残されており、今回撮影する女性はこの島と関わりのある一族の末裔であった。
島で取材をしていると復讐対象の一人が殺害されており、推理の結果その犯人は島に住む猫であると判明する。猫の正体は「マレヒト」と呼ばれる生命体であり、生き物に擬態する能力を持つ別世界の生き物であると明らかになる。
その後マレヒトが猫からロケ同行者の誰かに擬態した形跡が見つかり、誰が「マレヒト」であるかを探り始める、というお話
 
SF系のミステリー作品となります。
SF設定の使い方が上手いのが本作の見所になります。前作「時空旅行者の砂時計」もそうでしたが方丈さんは特殊設定の構築の仕方と使い方が非常に上手い。それらを駆使した伏線に張り方や真相はきちんと納得のいくものになっているので、実際にこういう世界だったらと想像しながら読むと楽しめる作品でしょう。SF要素である「マレヒト」の特性については作中で説明がされているため、きちんと理解して読み進めると真相を推理することも可能な構成になっているので自分で推理したい方にも楽しめます。
なお、前作にあたる「時空旅行者の砂時計」は読んでいなくても大丈夫です。気になった方から先に読んでしまってOKでしょう。
 
SF系ミステリー作品が好きな方にはおススメです。